いい加減にしてくれ ~AVにのめり込みすぎた彼~
大学のサークルで知り合い、付き合うことになったゲイカップルの旭 (あさひ)と博人 (ひろと)。博人には大好きなものがある。それはAVだ。それはそれでいいのだが、AVでやっているセックスと現実のセックスがごっちゃになってしまって――。
「ああっ…! 家まで後少しだからぁ…!」
「いいじゃん…俺、一度やってみたかったんだよね…」
「ひゃっ!」
*****
僕の彼は性欲が強く、それに加えAVが大好きだ。
もはや大好きを通り越してAVオタクだ。
そのAV好きが高じてレンタルビデオ店でアルバイトをしていて、大学卒業後は正社員として働き続けるとのこと。
そのことについては個人の趣味だから、と気にしていなかったが、AVで観たと言って少し過激なプレイを要求されたなんてことが度々ある。
僕はカラオケ店でアルバイトをしているが、可愛いカラオケ店員とあれこれしてしまうAVを観たという理由でわざわざ僕のアルバイト先まで来て犯されそうになったことがある。
現実とAVとの区別くらいちゃんとしてよ…
*****
「だから飲み過ぎって言ったじゃん! いつになったらお酒の加減を…」
今日はサークルの飲み会だった。
僕の彼、博人とはそこで知り合った。
「そこまで飲んでないってぇー。旭は真面目過ぎーだからまだ内定貰えないんだってー」
口が回っておらず明らかに酔っている。
「はいはい。じゃあ帰ろう」
僕は博人と肩を組み、飲み屋を出た。
僕が住んでるアパートと博人のアパートとはとても近い。
まぁ、大学側から勧められた物件なのだから当たり前だ。
「あー、セックスしたいー!」
突然大声で叫び出す博人。
日付はとっくに変わっている時間帯に、この閑静な住宅街に響き渡る卑猥な言葉。
「いい加減にしてよ…」
「ねー旭ー、俺今最強にセックスしたいー」
「わかったわかった、家来る?」
別に博人とセックスをするのは嫌ではない。
ただ、強欲過ぎるのが苦手なだけだ。
足を僕のアパートの方へと向かわせる。
ふと博人の下半身に目をやるとジーンズ越しでもわかるほどもっこりとしており、勃起していた。
「性欲は誰にでもあるものでしょー」
「いや…だからって外で勃起したりしないでしょ…」
博人はたまたま通りかかった公園にふと目をやった。
「…ねぇ」
嫌な予感がした。
「誰も居ないし、ここでヤろうぜ」
嫌な予感はピタリと当たった。
「よくあるじゃん? 外でヤったりするAV。あれ気持ちよさそうだなーって」
「だからさ…」
また出た。AVでやっていることは人に見せるためのパフォーマンスなのに頭の中がファンタジーになっている。
「いいじゃーん! やってみたらハマるかもよ?」
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