指名率No.1ホストは黒服に犯されて (Page 2)
スターダウトは、東京屈指の繁華街、巫町(かんなぎちょう)にあるホストクラブだ。毎晩男にもてはやされたい女たちが集い、酒や言葉に酔いしれて大金を落としていくのだ。
俺、神宮寺雅はこの店で指名率No.1のホストである。根からの女好きな俺は、精通した頃にはさっさと初体験を済ませ、常に女子を隣にはべらせて生活してきた。そして、大学生活を送っていた20歳の頃に付き合っていた彼女を妊娠させたことにより、額の慰謝料を請求されたことからこの業界に足を踏み入れることになったのだが、ホスト界は俺にとって楽園だった。
もちろん上下関係は厳しいし、先輩からのしごきにもあったが、指名が取れ始めると一気に形勢が逆転したのだ。俺は心にもないお世辞をいうのが得意で、女性が悩んでいれば上辺だけの相談によく乗っていたし、その気のある女には即、ボディタッチを繰り返してアフターとしてホテルに連れ込み、『俺が寝るのは本気の奴だけだよ。こんなこと、ホントは契約違反なんだからね』と平気でウソをつくのだった。
大抵の女が、ホストである俺との付き合いを遊びと割り切っていると思っていたが、その言葉を信じて数人がセックスに溺れ、妊娠してしまうと俺への風当たりは厳しくなった。
ホストクラブには、マネジメントや雑務をこなす黒服と呼ばれる役職が存在するのだが、俺があまりに素行不良な振舞いをするもんだから、オーナーが黒服をお目付け役に当ててきたのだ。
それが今俺の身体を弄んでいる男、剣崎聖夜である。
剣崎は、ホストクラブの中でも異彩を放つ存在であった。客を目の前にしても、笑みひとつ零さず、冷徹な瞳で俺らの動向に神経を研ぎ澄ましているようだった。女に対しての態度が横柄であれば、バックヤードに連れ込んでネチネチと小言を垂れるし、『指名率を伸ばせない奴は害悪だ』なんて精神的に追い詰めてくる男だった。
ある日、俺がキャバ嬢とアフターを共にしたラブホから戻ると、この剣崎から呼び止められた。相変わらずの冷たい瞳に、シャワーを浴びたばかりの身体に冷や汗が伝った。
「神宮寺雅。アナタ、また問題を起こしましたね?」
どうせ面倒な話に決まっている。そこで彼を手であしらおうとしたが、彼は俊敏にあるものを突きつけてきた。
「これ…は?」
剣崎の手元にあるスマホの画面には、スターダウトのSNSが映っていた。そして、本日の出勤予定者の投稿欄に、いくつかのコメントがついているのが見える。
「アナタとアフターでホテルへ行った女性客から、店のアカウントに書き込みがありましたよ。ご丁寧にホテルでのアナタの写真まで添えてね」
「はぁ!?」
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