マウント恋愛 (Page 6)
作り置きしていたのは百合人が好きな具だくさんのハンバーグと、ナスの煮びたし、それからレンコンのきんぴらだった。
「やっべ、みそ汁の具にほうれん草、忘れてた」
「別になくてもいい」
「いやいや、今日のみそ汁にはほうれん草の気分なんだよ。あー、もうスーパー開いてねぇしなぁー!」
「っていうか、もう食べるより寝る」
「え!せっかくチンしたのに!ほら、ゆりが好きなハンバーグだよ、ハンバーグ!」
風呂上りの妖艶な雰囲気の百合人は、ふわふわといい匂いを漂わせながら寝室に向かった。
「俺は寝る」
「ゆーりーぃ!」
「あ。おまえ、また痕、つけたな」
「えっ」
「明日の洗濯当番もおまえな」
「あ、うん、それはいいけど……って、あ、そうだ!おまえさ、レポートとかっていつやってんの?おまえがレポートやってるとこ見たことないんだけど」
「おまえが学校に行ってる時にやってるけど」
「なんか、高井の話じゃ、すっげぇ内容とか提出スピードとかいいらしいじゃん」
「だから?それがおまえに何の関係があるんだよ」
「え?えー、あー、ないな、あ、いや、高井が周りのこと考えろっつってた。ハードル上げんなって」
「おまえ、高井のこと好きなのか?俺より?」
「は?」
「……ふ……冗談」
寝室の扉を開いた百合人は、ふと立ち止まり、言った。
「おまえも俺のこと好きだもんな」
百合人には勝てないな、と思った。
Fin.
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