ウリ専ボーイのレイ君

・作

ウリ専で働くレイ(源氏名)は都内にある有名私立大学に通う大学生でもある。だが、お店では最下位。ある日フリーで付いたやっかいな客と大学内で偶然遭遇してしまう。その相手は園崎製菓の御曹司、園崎悠馬(そのざきゆうま)だった。少し会話をしただけで自称大学内の有名人だと名乗る園崎に絡まれてしまい――

三つ指を付いたあと源氏名を告げ、顔を上げると僕と同い年くらいにしか見えないその場限りの恋人ごっこの相手がドアの前に立っていた。

今日のお客さんはずいぶん若いお客さんだな…

「へー。レイ君っていうんだ? フリーでお願いしたからどんな子かなーってギャンブル気分だったんだけど、可愛い顔してるじゃん」

「…いえ、僕はこの店ではビリなんですよ。誰もお客さん付かなくてゼロっていう日もあります」

「えぇ…ならなんでウリ専なんてやってるの?」

なんで…なのかな。自分自身でも答えがわからなかった。
「とりあえずシャワー浴びてください。決まりですから」
と、話を逸らした。

*****

「んっ、ああ…レイ君、早く俺のおちんちん咥えてよ…」

シャワーを浴び、お客さんの身体を拭く間もなく、ベッドへと押し倒され口元にギンギンになった男性器を押し付けられる。

「うっ…ぐっ…」

今日は嫌なお客さんに当たってしまった。
でもこれは仕事なんだ、お金を払ってもらっているんだ。

「あがっ…ううっ…! うえっ…!」

無理やり喉元まで男性器を押し込まれ、思わず嗚咽をあげてしまう。

「あっれー? 俺は安くない金を払ってレイ君を買ったのに…」

言葉で煽るだけではなく、さらに喉の奥深くを激しく突かれ始める。
もう言葉を発することも、息をすることもできない。

「今、歯ぁ立てただろ?」

ドスの効いた声で言われ、恐怖を感じる。
…このお客さんは出禁だ。

「あっ…うっ、ううっ…」

この店の緊急時の対策として天井にある隠しカメラに向かって手を振る、というものがある。
そうすると店の従業員が駆け付けてくれるというものだ。

僕はなんとか力を振り絞り、その隠しカメラに向かって手を振った。

*****

僕にはもうひとつの顔がある。というかこっちの方が表の顔だろう。

それは都内にある有名な私立大学の大学生だ、ということだ。
だけど僕には友達が居ない。地元にはいまでも連絡を取る友人は居るが、この大学に”友達”というものは居ない。

大学進学のために上京したが、果たしてそれは正しい選択だったのか、と頭を抱え悩んだこともあった。
友達が居ないから講義だって休めない。代返なんてもっての他、過去問も回ってこない。
だから勉強も人一倍頑張ったし、体調管理だってしっかりした。そのために料理の本を買ってきて自炊だってした。

…なのに満たされない。

そんなとき、やけくそになって始めたのがウリ専の仕事だった。

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