コネて叩いて転がす愛 (Page 3)
豆本の家は俺の想像以上の高級マンションで部屋は最上階近くで、いやもうこれって超セレブじゃねぇかよってツッコミを入れてしまった。
「あはは!竹崎さん、直球だね」
「おまえんち、さてはあれだな?土地とか持ってて働かなくても食ってけるって金持ちだろ」
なのに部屋は殺風景に近いほどサッパリしていて、嫌味という嫌味がないのが嫌味なくらいだ。
薄暗い照明に照らされるのは70年代とかその辺のジャケット風ポスターだし、いい匂いがする。
「死んだじぃちゃんが土地持ってた。今はこのマンションになって、まぁ、言っちゃえばセレブかな」
「豆本っつったら、まさかとは思ってたけど、あの大手化粧品メーカーの、だろ……マジかよ」
「すごい情報通」
去年だったか、その化粧品メーカーと正式に取り引きすることになったって話が社内で盛り上がったっけ。
跡取りはいるって噂だったけど、揉めてるって噂もあった。
通されたゲストルームで上着を脱ぎ、ネクタイをほどいてベッドに座った。
「竹崎さん、お風呂入るよね」
「あ、ああ……貸してもらえるなら」
「着替え用意しておくから」
「ありがとう」
にこりと笑う豆本にドキッとした。
あれがイケメンの力か。
こんなくたびれたおっさんとはワケが違う。
女子がパンを大量に買ってまで写真を撮りたがる理由がわかった気がした。
*****
案内された風呂場(いや、この場合はバスルームっていった方がいい)は、数人が一緒に入っても大丈夫そうな広さだった。
どこもかしこも、いちいちオシャレだな、なんて思った。
ここも何かいい匂いがする。
なんだろう、この香り。
俺が知ってる香りじゃない。
「外国産の何たらってやつか」
別に気にもせずに服を脱いだ。
シャワーヘッドがテレビで見たことのあるきめ細かい泡のように出るタイプのやつで、テンション爆上がり。
ついでに期待していたバスタブも、知らないけど王様とかが使ってそうなスタイリッシュなもので、内心すごくはしゃいだ。
ボディソープもなめらかふわふわな泡で、日々仕事で疲れっぱなしの体にすごく優しかった。
ヘアシャンプーもリンスも文句なしの超一流品で、ひたすら癒された俺は温かい湯に浸かろうとしたが、ふと下半身に違和感を覚えた。
「……ん?んんっ?!」
なんだ、どうした、どういうことだ!?
勃起してる。
明らかに勃起してる!
いやらしい妄想なんかしてないし、動画も画像も漫画も見てない。
それなのに俺の息子はギンッと反り返っている。
「竹崎さん、俺も明日早いんだ~。一緒に入っていい?」
豆本の声。
もわもわと湯気が遮っているけど、言いながら服を脱いでいるらしい。
「お、おっ、おう!いいぞ!」
豆本が入ってくる前にバスタブに飛び込んだ。
入れ替わりに出て、すぐにトイレに駆け込めばセーフだろうと思った。
「うちの風呂、けっこういい感じでしょ?俺も気に入ってるんだ」
「だな!部屋もいい感じだけど風呂もすっげぇいい!」
「あっはは!テンション高いなー!」
そこのボタン押すとジャグジーバスになるよ、と教えてくれた豆本の体は男の俺が言うのもなんだけど、すごく鍛えられていた。
こりゃ、抱かれる女の子も満足するだろうな。
いやいや、おじさんウケもしそうだな。
俺も一回くらい……。
「竹崎さん、ボタン、こっちだよ」
黙ってる俺に、ボタンがわからないんだ、と勘違いした豆本が近づいた。
ガシッ。
俺は豆本の右腕を掴んでいた。
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