この恋の価値観、合ってます? (Page 7)
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途中から数えられないくらいイキまくった俺と潤は、ベッドの隅と隅で朝を迎えた。
夢だと思ったけど、ゴムを使った形跡もあった。
あれが夢じゃなけりゃ、何回かイッて余裕が出た俺たちはセックス授業なんかをして、コンドームはこうやって使うんだぜ、とか、やってたような……?
あー、でも、そうかー。
俺の願いっていうか、希望?
叶っちゃったわけかー。
これで晴れて、潤は俺じゃない誰かの所有物に……。
「幸穂、どうした。泣いてるのか」
「そうだよ。一夜をともにしたイケメンメガネをみすみす知らない女に寝取られるのかと思うとな」
寝落ちる前に外していたらしいメガネを着けた潤が、近づいてくる。
抱き寄せられて、ビビった。
「隠してたわけじゃないけどな、結婚は破談になりそうなんだよ」
「は?破談って……おまえ、それ、振られたってこと?」
「世の中、面白いこともある。俺が結婚しようとしてた相手は女だったけど、どうも男がダメらしい」
「うん。うん?」
「近々、性転換をして男になるんだそうだ。好きな女性に告白されて決意したんだとかで」
「へ、へぇ?」
「相手のご両親は、性転換する自分の子を止めてほしいって俺に頼んできたんだけどな、俺はその辺りの説得の仕方がわからなかった」
「それ、面白いって話になんのかよ」
「ああ、驚く話か」
抱き寄せられたままの俺は寝起きなことも手伝って、まだ頭がうまく回らない。
メガネをかけたイケメンが、俺の唇にキスをした。
「よかったな、幸穂。おまえ、寝言で言ってたぞ」
「な、何を……」
「おまえのメガネは俺のもの、だったかな」
「ふ、ふぅ~ん」
「結婚はなくなったけど、海外に拠点は移すから、しばらくは会えなくなる。元気でな」
「おい。そこは、おまえも一緒に来いよって話だろ」
「ついてくる気か。おまえ、英語できなかっただろ」
「潤が俺の通訳になりゃいいだけの話だろ」
「念願だった男優の仕事はどうするんだ」
「どうせ、あと三年もすりゃ引退だ。おまえについて行っても問題はない!」
「そうか。それは都合がいいな」
「一年待ってもらおう!その間に俺はこの体で稼げるだけ稼いで、盛大な卒業をして、潤の後を追う!それまで待ってろ、いいな!」
「朝からうるせぇな」
潤からの二度目のキスは、ちょっと痛かった。
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