熱を持った病人 (Page 2)

「……勃っちゃった?」
「お恥ずかしいですが……」

 腕を眉間に乗せ顔を隠して答える謙一に、優希は頬が熱くなるのを自覚した。

「無茶は厳禁だからね」
「はい……。あ、でもお風呂がまだでした……。すみません、やっぱり僕、どうかしてるな……」
「謙さんはいつでも綺麗だから大丈夫だよ」

 優希はそう言うと、ギシ、とスプリングを軋ませ、謙一の寝る布団の中へ潜り込んだ。

「疲れちゃうから、口でだけ、だよ」

 するりとズボンの前を引き下ろしながら、優希はすでに熱気がこもるそこで膨張するモノを咥えた。屹立する肉棒だけでなく、触れるところはどこも熱かった。布団の中は暗くてよく見えなかったが、舌に触れた先端はすでに先走りで濡れていて、それを舌先ですくうようにして舐めとるとピクンと揺れた。その反応が可愛くて、優希はツルリと丸い亀頭から一気にその立ち上がりを飲み込んでいった。

「ふおい、けんふぁんの、あうい」
「優希くん、そこで喋らないで……っ」
「ふぁーい」

 性器から溢れる液体だけでなく、優希の口からも興奮によって唾液がたくさん分泌されていた。あっという間に欲望を慰める結合部はぐちゅぐちゅと粘度の高い水音を鳴らし、酸素の少ない布団の中で優希はハアハアと息を乱した。謙一にとってはその優希の荒い吐息が下腹にかかるだけでも今は快感に代わり、風邪によるものと優希によってもたらされる熱で頭の中がふわふわと浮かされていた。

 優希自身は、はやくこの熱を解放させて、大人しく寝てほしいと思っていた。それ故に性器をしゃぶり舐めとるストロークはいつもより性急になっていた。口をすぼませ、喉を締め、まるで精液を搾り取るようにして謙一の性器を扱いた。

「う、ぐ……優希くん、まって、もうイキそうだから……っ」

 布団の中に謙一の手が入ってきて、しゃぶり続ける優希の揺れる頭をクシャリと撫でた。優希は「まて」を聞かずに、むしろさらに昇りつめさせるように口内の性器を蹂躙(じゅうりん)した。

「う、あ──ッ」

 根元から先端を裏筋に沿って舌を這わせながら一層強く吸えば、ビクンッと揺れて脈を打ち、ムワリと青臭い液体が優希の口内に吐き出された。

「ンッ」

 優希はそれをこぼさないように飲み込みながら、柔らかくなった謙一の性器をずるりと口から出した。

「謙一さん、もうお終いだからね……って、寝ちゃってる」

 サウナのように暑い布団から抜け出てみると、病人は額に汗を浮かべながらすやすやと眠ってしまっていた。

「……治ったらお返ししてもらお」

 優希は自分のズボンを押し上げる勃起を抑え、そう呟いた。

Fin.

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