世界一可愛い変態小悪魔 (Page 3)

改めて見ると非常に美しい青年だった。

長いまつ毛、こげ茶色の瞳、鼻筋も真っ直ぐに通っている。

年齢は俺と同じで二十歳やそこらだろうか。

整った中性的な顔は姉が好きなアイドルによく似ている。

肌は透き通るように白く、ほっそりした肩にソファの縫い目の跡が赤く刻まれていた。

「君、僕のこと見過ぎ」

「べっ、別に見てねぇよ」

俺は視線をそらすと、汚れたティッシュをゴミ箱に放り投げた。

さっきは見ててくれと抜かしてたくせに…。

喉まで出た言葉を飲み込んで眉間のシワを指で擦った。

「あんた姉貴のセフ…いや、友達?」

「うーん、なんだろう。昨日出会ったばっかだしまだ友達とは言えないかなぁ」

男はソファから下りると俺の横に座った。

それから投げ出した両脚をぶらぶらと揺らしながら、

「セックスはしたけど友達じゃない。だから少なくとも”セフレ”ではない、かな?」

と飄々(ひょうひょう)と語った。

「なるほど、まぁ確かに」

俺は性に奔放な姉を思いひとつため息をついた。

仕事をバリバリこなすカッコイイ姉なのだが昔から男関係がだらしない。

特に小動物みたいな年下男が好きで、俺の同級生も何人か食われている。

そんな姉の近くで育ったせいか、反面教師が行き過ぎたせいか、俺は恋愛にすっかり奥手になってしまった。

「君は弟さんでしょ?お姉さんから話は聞いてたけどこんなにイケメンだったとはねぇ」

「そうっすか。そりゃどーも」

「弟くん、名前は?」

「祥太郎」 

「ショウちゃんかぁ。僕、結構タイプかも」

男が舐め回すように俺を見た。

「あんた、女じゃなく男もイケるの?」

「僕は僕を気持ちよくしてくれる人が好きなんだ。男か女かなんて関係ないよ。かっこよく言えば性に前衛的なのさ」

「へぇ、ただの変態オナニー野郎じゃねぇんだ」

「あぁ…その響き…やっぱりクるね」

沸き返る快感を噛み締めるように男は目を閉じた。

「やっぱイカれてる」

「僕は性に前衛的なのさ。だから褒め言葉として受け取っておくよ」

男はニヤッと笑うと俺に右手を差し出した。

「ナオヤだよ。よろしくね」

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