満員電車と仕掛けられた罠 (Page 2)

「……ぅう」
「大丈夫すか、先輩?」

翌朝。純平はやはり痴漢にあっていた。昨日までと違うのは涼がいること。それだけで純平は少し勇気づけられた。

「なんか……いつもよりはマシな気がする」
「だったらよかったです」

涼は純平を守るように純平の真後ろに立っていた。そのおかげか、痴漢の手が届かなくなっているのか、かすかに触れてくるだけになっていた。純平も涼も満員電車のドア際に乗っていて押しつぶされており、痴漢が誰なのかを見つけることはできないものの、これくらいならやり過ごせる、と純平はほっとしていた。

しかし、そううまくはいかなかった。急カーブで電車が揺れ、ガタンという衝撃と共に涼が純平の真後ろから離れていってしまったのだ。

「先輩!」
「涼!」

途端に痴漢の手が純平に迫ってきた。スラックスの後ろから無理矢理手をねじこみ、さらにはパンツの内側へと侵入してきた。ここまでは昨日と同じだ。しかし、痴漢の手は違う動きを見せた。なんと、純平の尻の穴へと指をねじ込んできたのである。

「いっ……!」

痛みに純平は思わず声をあげてしまったが、周りに気付かれたくないと思いあわてて口をふさいだ。その間にも指は好き勝手に動き、ぐいぐいと純平の穴を広げていく。2本、3本と指は増え、ばらばらに動いて純平のナカを蹂躙(じゅうりん)した。

「ぇ、あぁっ!?」

ひたすら気持ち悪さに耐えていた純平だったが、指がある箇所を掠めた時に変な感覚におそわれ、思わず声がもれてしまった。まさか、まさか。痴漢の手によって快感を得てしまったことに、純平は恥ずかしさで真っ赤になってしまった。

「先輩!」

そこに何とか人をかき分けて戻ってきたのであろう、涼の声がした。ふらついていたオレは涼の腕に支えられてなんとか立つことができた。

「先輩、顔色悪いっすよ?会社にはオレが連絡しますから……少し休みましょう?」
「う、うん……」

涼の言葉に甘え、次の駅で降りた。会社に電話をしている涼に申し訳ないな、と思いつつもベンチに座って先ほどの感覚を忘れよう、忘れようとしていた。そうこうしているうちにどこかに入って休んだ方がいいと言う涼に手を引かれるままある建物に入っていた。涼は手慣れているのか入り口付近のパネルを操作して鍵を取り、会計を済ませてオレの手を引きエレベーターに乗った。

「涼、ここってなんなんだ?」
「ホテルですよ。先輩、しっかり休んだ方がいいと思いましたから」
「そうか……すまないな、料金は後でちゃんと払うから」
「いいですよ、もう会計しちゃいましたし」
「え、ホテルなのに?」
「そういうところもあるんですよ」

そんな会話をしながら部屋へと向かった。

「ラブホも知らないとか……先輩、ウブすぎ」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ」

にっこりと笑う涼と一緒にオレは部屋に向かった。

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