ねえ、大好きだったよ (Page 2)
僕らの番が来て、共に乗り込む。ゆっくりと高いところへ登っていく。外に映る景色が世界でいちばん綺麗に見えた。でも、隣にいる君がなんだか上の空で、気になって声をかける。
「…蒼真、外綺麗だよ?」
『ん?…あぁ』
からっぽの返事。気になって言葉を続けた。
「どうしたの?なんかあった?」
『いや、別になんもねぇよ』
嘘だ。彼は嘘をつくときに決まって自分の指をなでる。
「嘘つかないで。話してよ」
『…あの、さ』
口を開いた君の目がやけに真剣で。
『俺、結婚することになった』
あぁ、ついにその時がきたんだって思った。何となくわかっていた。いつかこうなることを。
男同士の恋愛。お互いもういい大人だ。両親から結婚はまだかって聞かれる回数も増えた。僕はその度に曖昧な返事をして誤魔化していたんだけど、彼も同じとは限らない。
家族思いの彼だからこそ、好きになったんだ。この日が来るのも、覚悟の上で。
「…そっか」
『ごめん、なかなか言い出せなくて』
「…いいよ。…ねぇ、蒼真」
『………』
「帰ったらさ、えっちしようよ」
『…蓮』
「いいでしょ?」
『……あぁ』
僕はそのとき笑えていたんだろうか。心の奥底からにじんだ悲しみを隠すことはできていただろうか。
「ただいまぁ〜」
『…ただいま』
「ん、おかえり…蒼真、こっちきて」
『風呂は?』
「いいから、シよ」
『…おう』
服の隙間から入り込んでくる冷たくてゴツゴツした彼の手が、僕の胸を優しく触る。もちろんいつも優しいんだけど、今日は特別ゆっくりと撫でていった。
乳首の周りをくるくるといじる。彼に開発された胸は敏感で、すぐに淡いピンクの先端は立ち上がった。
何度も唇を重ねる。柔らかい舌と舌が絡み合い、頬を赤く染めていく。もうこうやって愛を伝えることができなくなると思うと、涙が溢れてきた。それに気付いた蒼真が指で涙を拭ってくれる。ふわりと悲しそうに微笑む彼にギュッと抱きつくので精一杯だった。
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