ミルクコーヒー~君の声に溺れたままで~ (Page 4)
シャワーから上がった啓輔は、いつもの甘えん坊に戻っている。
俺も後処理を済ませて、ソファーに座ってぼーっとしていた。
『ユイちゃん、そのコーヒーもらってもいい?オレのやつなくなっちゃった。』
俺がミルクコーヒーが好きだから、気遣って言ってくれてんだよな、啓輔。
俺は全部知ってんだよな。
お前があのバーで会った男のことが好きなこと。
俺とは正反対の爽やかな男だということ。
程よく筋肉もあって、ジン・トニックが好きな男だということ。
そしてお前は、そいつを”ちゃん”付けで呼ばないってこと。
「…ユイちゃん?どしたの?」
愛されたいから愛した訳じゃない。
てか、愛してない。
でも本当は、呼び捨てで呼ばれてみたかったのかもしれない。
『…俺のもやるよ、ほら』
俺のミルクコーヒーを差し出すと、すごく嬉しそうに微笑んだ。
喜ぶ顔がまた脳裏に焼き付けられる。
本当はカルーアミルクより、ジン・トニックの方が好きな癖に。
「いいの?ありがとう、”ユイちゃん”」
俺はジン・トニックなんて飲めない。
全部わかってるけど、ミルクコーヒーをすするのはやめられない。
Fin.
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