それはお前だけじゃない (Page 3)
「お前に惚れた女相手にすんの、もう無理だ」
「……は?」
「体いくつあっても足りねえよ。しかも、俺の知らねえところで増やされたんじゃ……」
優斗の言っている言葉の意味も、優斗に口付けられた理由も、何一つ蓮にはわからなかったた。
優斗が蓮の肩を思い切り押した。
柔らかいベッドの上で、自分よりも体格のいい優斗に体重をかけられてしまえば、蓮はベッドに倒れ込むほかない。
蓮は脚と腹筋を使って体を起こそうとしたが、無駄だった。
「っ!? 優斗!?」
蓮が思わず声を荒げる。
優斗が蓮の服を掴んで、思い切りずり上げたからだ。
優斗の熱い手が、蓮の少し冷えている肌を撫ぜる。
「っ……」
「蓮……もう、いいよな?」
「なにが、……っ……やめ……ぁ……」
優斗の指が、触れるか触れないかという力加減で肌の上をすべる。
腹筋をなぞり、脇腹を撫で、腋(わき)のすぐ下へと上ってくる。
優斗はそのまま、蓮の服を脱がせようとした。
蓮は脱がされまいと抵抗したが、そんな彼をなだめるように、優斗は蓮の首筋に唇を寄せる。
優斗の熱い吐息を肌で感じて、全身がしびれるかのような感覚がした。
「ゆう、と……やめ……て、くれ……頼む……」
「嫌なら、殴ればいい……殴んねえなら、やめねえ……」
「っ……」
蓮はその言葉に、どうすればいいのか判断がつかなかった。
優斗は蓮にとって、幼馴染であり、親友だ。誰よりも気を許した相手だ。
それこそ、優斗になら何をされても、彼が何をしても、嫌いになどならない自信があった。
高校生のとき、自分の彼女にちょっかいをかけたときも。
その彼女に、優斗のことを好きになってしまったからと振られたときも。
そして、優斗がその彼女の思いに応えることなく無残に振ったときも。
蓮はすべて許した。
蓮にとっては、優斗だけがいつも特別だった。
けれど、こんなふうに触れられるのは嫌だと思った。
「殴れないっ……優斗、やめてくれ! いやだ!」
「っ……嫌か、俺にこういうことされんのは」
「いやだ! ――うっ……っぐ……」
蓮はあまりの痛さに思わず息を詰めた。
優斗が蓮の首筋に思い切り噛みついたのだ。
蓮が痛みと恐怖にひるんで体を硬直させると、その隙を見て優斗が蓮の服を剥ぎとった。
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