数カ月ぶりの再会、熱帯夜
遠距離恋愛中の達樹(たつき)と千景(ちかげ)は、数カ月ぶりに二人の時間がとれたことを喜ぶ。明日からはしばらく一緒にいられるとあって、千景は移動で疲れているであろう達樹を気遣い「今日はゆっくり寝よう」とベッドへ入るが、達樹はそう簡単に寝るはずもなくて…?
「寝るんじゃ、なかったのか、」
「…んー」
こちらの服をがさごそとたくし上げ何かを探すように勝手に弄る達樹に、千景はあきれたような声をあげた。
「…移動疲れたろ。今日じゃなくても、今回は結構長くいれんじゃん」
「うーん…、でも…」
こんなになっちゃった、と達樹は千景の手を取ってすでに硬く熱を持っているそこへ促した。
「っ、」
「久しぶりに会えたのに、寝れるワケなかったわ」
達樹は自然な動作で起き上がり、覆い被さるような形で千景を見下ろす。その瞳に灯る熱ははっきりと千景だけに注がれていて、千景もつられて全身が火照っていく。
「いい?」
ズルい質問をする男だ。千景は思わず目を逸らす。
それを肯定と受け取ったのであろう、達樹は千景の衣服を早急な手付きでするすると脱がしていく。ぱさり、と音をたてて床に落ちた二人のシャツは折り重なってしわになり、やけに生々しい。
最後に時間が取れたのは、もう何ヶ月前のことだろう。
千景は不思議なほど肌へ馴染む久しぶりの温度に、記憶をひっくり返す。
あれは多分三ヶ月、いや半年?
ともかく、それほど久しぶりの夜だった。
「…達樹、キス」
「ん、」
達樹は望まれるがままに千景へ深い口付けを贈り、すっかり邪魔な布がなくなった肌を撫でる。丁寧で宝物に触れるかのような指が腰骨から鎖骨へ、優しく辿っていく。千景にとってそれは自身の中心が熱を持ち始めるのに十分で、思わずもっと、と強請るように達樹の腰へ内ももを擦り付けた。
「チカ、」
「ん、…っ、」
「はー…あいしてる、チカ」
達樹は確認するかのように、千景の耳元から首筋、鎖骨、脇腹へと口付ける。
舐めて、噛んで、食んで。動物のように甘える達樹に、千景も少し湿った達樹の髪を撫でて応えた。
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