スイーツみたいに甘い彼 (Page 2)
「こんにちは!」
夕方、有起哉が到着した。
「いらっしゃい、上がって」
冷蔵庫からフルーツを取り出してみせると、有起哉の目の色が変わった。
「すごいですね!」
「叔父が果物栽培に凝っててな。母がそこで働いてるから送ってきたんだ」
箱には南国でしか採れないカニステル、キワノなどが詰め合わされている。
どんな味か試してみたい。有起哉は生クリームを泡立て、ジャムやカスタードクリーム、チョコレートソースを作り、準備を整えた。二人でスプーンを持って、少しずつ食べてみる。
「うーん…」
「正直な感想を言ってもいいぞ」
「キワノに関してはジャムにした方が美味しいですね。カニステルはクリームやチョコと食べると粉っぽさが抑えられますけど、干した方が…」
自分にとって謎の植物が、有起哉によって美味しく生まれ変われるかもしれない。そう考えると、なんだかワクワクしてくる。
「あ、すみません…僕ばっかり喋っちゃって…」
「いいんだ。有起哉の話を聞くのは好きだから」
有起哉が突然、しょんぼりとした表情になる。
「実は僕、前の恋人に、『話が長い』って言われて振られちゃったんですよ」
有起哉は本当に悲しそうな顔をした。
ここだ。このタイミングしかない。
「…率直に言わせてもらう」
「…どうしました?」
「俺と付き合ってくれないか?」
驚きで目を見張る有起哉に、環は畳み掛ける。
「初めて会った時からずっと好きだった! もし好みのタイプじゃなかったら仕方がないが、そうじゃないなら考えてくれ!」
「あの…その…いつ僕が『そっち』だって気づいたんですか?」
「勘だ!」
有起哉は額を抑えると、天井を仰いだ。
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