ライバルは遊園地!?
レイと裕翔は高校卒業からの付き合いがある恋人。大学を卒業してからは同棲をする仲だが、なぜかレイは裕翔のヒモになる。「就職をしないでほしい」と謎の頼みごとを受け入れ、快適な暮らしをするレイの楽しみは一週間に一度の裕翔との遊園地デート。今日もまた裕翔とデートを楽しむが──。
遊園地。
大人も子供も楽しい素晴らしいテーマパーク。
「り、りりりり! リンたんっいる!」
遊園地が大好きな俺は週に一度、恋人と一緒にお気に入りの『りんりんランド』に来る。
ちなみに『リンたん』とは、りんりんランドの大人気マスコットキャラクター、リスのリンたんのことだ。
『リンたん』は気まぐれのリスでいつ会えるかわからない、会えたら超超ラッキーのキャラクター。
「裕翔(ゆうと)! リンたんと写真撮って!」
リンたんとハグしながら、一緒に来た恋人の裕翔に目を向ける。
「もちろん。じゃあこっち向いて」
名前でわかる通り、裕翔は男。
高校で知り合って、卒業式の日に告白をされてからずっと付き合っている。
一眼レフという立派なカメラを構える裕翔に、俺は満面の笑顔でリンたんに抱き着いた。
モフモフの可愛いリンたん。
「はい、チーズ」
「ぎゅうぅーーっ!」
リンたんと会えただけでも奇跡なのに、ハグして写真も撮れるなんてマジ最高!
リンたんと別れて、裕翔と手を繋ぎながら園内を歩く。
平日の真ん中の日は、こうして裕翔と『りんりんランド』に来るのがお決まり。
男で遊園地が好きな俺を裕翔はバカにするどころか、一緒に遊びに行ってくれるいい奴。
だけど、いまだに俺を好きな理由がさっぱりわからない。
俺を好きなことは超わかるけど。
「レイ、次は何に乗る?」
「……」
「レイ? 俺の顔に何かついてる?」
「観覧車」
そう言って、俺は裕翔と観覧車に向かって歩き出した。
いつもは最後に乗るけど、今日は話をしたい気分だったから。
*****
観覧車の中、裕翔と向かい合って景色を眺める。
日本最大級のリゾート型遊園地は、近くにホテルやお店もいくつか並んでいる。
裕翔がいなきゃこんな頻繁に来れる場所じゃない。
それも毎回フリーパスで。
裕翔を見れば視線が合い、綺麗な顔で微笑まれる。
優しい甘い顔って言ったらいいのかな。
恋人に向けるような、女に向けるような男の表情。
高校でも大学でも裕翔はモテた。
多分、会社でもモテてる。
聞いても教えてくれないから裕翔の就職先はわからないけど、俺を養って高級マンションに住むくらいだからスゴイところ。
いや、俺だって就職活動をしたさ。
でも裕翔はなぜか遊園地のフリーパスと超超レアキーホルダーを使って、就職しないでほしいと意味のわからない頼みごとをしてきた。
だから実質、裕翔のヒモ。
なんで俺を好きなのかがサッパリわからん。
だってかれこれ五年だぞ?
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