例え過去がなくとも (Page 3)

「忍…」

両親に連れられ、忍は俺の家に来た。
忍が「帰っていいよ」と両親にいうと彼の両親は「忍をよろしくおねがいします」と俺にいい、帰っていった。
忍は俺の家に上がると物珍しいものを見るように部屋の中を無遠慮に物色し始めた。

「少しは遠慮しろよ、相変わらず」

とまでいって言葉を飲み込んだ。
こいつはもう、俺の知ってる忍ではないのに。

「相変わらず?」

忍は部屋の中を物色しながら疑問そうにその言葉を返した。

「記憶を失う前のお前もそうだった、遠慮なんかしないやつだった」
「そうなんだ、なんでもういないみたいな言い方をするの?」

俺は固まった、忍は物色をやめてこちらをじっと見つめていた。
変な汗が出る、その言葉を出してしまえば、俺はきっと情けない姿を忍に見せてしまう。

「俺の恋人だった忍はもういないから」

その言葉を発するのが苦しかった、認めてしまうのが怖くて。
涙がぽろぽろと頬を伝う、俺はしゃがみこんだ。

「…あぁ、そうだったんだ」

忍が納得したように言う。
そして俺の前に来ると俺の唇にキスをした。

「なっ」

俺が驚いていると忍は優しく微笑む。

「陽には僕を忘れてほしかった、でもできなかったんだ、離れたら会いたいって気持ちでいっぱいになって、どうしようもなかった」
「え…」
「記憶は戻らないかもしれない、それでも僕は陽と一緒にいたい、陽と繋がっていたい、それは陽が僕のかけがえのない人だったからなんだね」

息をのむ、胸が苦しい。

「記憶がない僕でも、陽の恋人にしてくれる?」

俺は答えをキスでした。
忍はキスに応えると俺を抱きしめ、ベッドへ誘う。
俺はその誘いに応えて忍を押し倒す。

キスをしながら手で忍をベッドにぬいつける。
そして服の中に片手を滑り込ませ、胸の飾りをピンと弾くと忍は身をよじらせる。

「かわいい」

俺は呟くようにそういうと忍は恥ずかしそうに顔をそむける。
そしてズボンと下着を脱がすと忍の秘部があらわになった。
やわやわと優しく忍のペニスを触っていると彼は笑って「遠慮してるの?」という。
少し悪戯っぽく笑うのも忍らしさを感じられて俺は「ははっ」と笑うとベッド脇の引き出しからローションを出す。
ローションを手に取り、軽く温めるとゆるく広げられた脚の間から忍の秘部にぬるっと指を這わせる。

「んっ…」

忍は声を漏らす。
身をよじらせるが、抵抗する様子はない。
久々の感触に俺が興奮していると「変態」と忍はにやりと笑う。
むっとした俺が指をナカのイイところにぐりっと押すと忍は「ひゃぁっ」と体を跳ねさせる。
忍はなんでわかるのと言いたげな表情をしていたが、当然である、体は覚えているということだ。
ゆっくり慣らしたところに俺のペニスを押し当てる。

「いいか?」

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