ドラマティックな愛を刻まれて (Page 2)

「いや、俺と一稀さん…そういうのじゃ、ないでしょう。てっきり俺の知らないところで、お付き合いしている女性がいるものだと」
「仕事漬けで、夜はお前とばっかりいるのに?」
「でもだからって…あの…近場で手を打とうっていうのは。何もマネージャーでセフレの俺と、なんて…どうしちゃったんですか」
「セフレ? お前、マジで言ってんの?」

心臓が飛び出しそうな胸元を押さえ、白井は必死に次に続く言葉を探すが見つからない。人気俳優とマネージャー、容姿才能に溢れた美丈夫と何もかも凡庸な青年。どこをとっても釣り合わず、唯一合うものといえば体の相性くらいだろうと、白井は考えあぐねてしまう。しかし目の前の鐡から感じる圧力は凄まじく、そのオーラは怒気すら孕んでいる気さえした。

「お前がそのつもりなら、わからせてやるよ。今日は寝れると思うなよ」

*****

「ンッ…はぁ…ぁ…待って、くださ」
「待たない」

ベッドへ押し倒されるや否や降ってきた獣のような口付けに、白井は戸惑いと緊張で体を固くする。押さえられた両手首は上質なマットレスに沈み、既に興奮を露わにしている鐡の熱が太腿へと擦り付けられていた。

「ぁ…ンぁ…一稀、さん…」

伝う唾液の糸を眺める間もなく、鐡の唇が白井の首すじへと襲いかかった。ぢゅぅ、と音をたてて吸われた後に、チクリとはしる僅かな痛み。噛まれたのだと白井が慄(おのの)いても、鐡の愛撫が留まることはない。射抜くような彼の視線も相まって、まるで吸血鬼に囚われたかのような気分で白井は小さくなっていた。

「やぁッ…ぁ…あッ…そこ、ぁッ…」
「初めて抱いた頃に比べれば、随分とヤラシイ乳首になったよな」
「ンンッ…ふぅ、ンぁぁ…」
「もっと声、聞かせろ。お前の声、可愛くて好きなんだ」

耳に吹き込まれる甘い囁きひとつで、白井の心はぐずぐずに蕩(とろ)けて鐡のことしか考えられなくなった。ほんの少し舌先で耳殻を舐められただけでも体温が上がり、頭がぼぅっとして景色は桃色に霞んでいく。ぴんと尖った胸の頂を弾かれるたびに、白井の全身には甘い稲妻が伝播して、下半身もじわじわと熱を帯びていった。

「あぁ、ぁ…一稀さん、だめッ…そんな、やだ…なんで、いつも、しないのに」
「お前に気持ちが伝わってなかったみたいだからさ。いつも、させてばっかで悪かったって、俺も反省したわけよ」

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