罪深い僕と君 (Page 2)

零夜はナカに出すとすぐそのままシャワーを浴びにいく。
ぼろ雑巾のような僕はベッドに放置される。
苦しい、つらい。
情事後はいつもそんな感情に支配される。

涙を流しても気にかけてくれる相手はいない。
ここには冷たいベッドと賑やかな部屋、そしてボロボロの自分しかない。
その事実に、僕は打ちひしがれることしかできない。

*****

しばらくして零夜が風呂から出てくる。
自分には目もくれずソファに座り、お茶を飲む。
僕はふらふらと立ち上がり、シャワーを浴びにいく。

シャワーの熱が温かくて、まるでぬくもりのように感じた。
流れた涙がシャワーの水にかき消えてなかったことになっていく。
ナカに出されたものをかき出すと行為の跡がどろりと脚にたれていく。
それをみて、僕はきっと喜んだ。

シャワーから上がるともう零夜はそこにはいなかった。
テーブルの上をみると「帰る」と書かれた紙とホテル代が置いてあった。

「は、はは」

こんな相手でも自分は彼を愛しているのだから仕方がない。
部屋の向こうにはプレイ用の鏡がある。
それに向かうと、僕は鏡に手をつける。

「愛することに罪はあるの?」

そう問いかけ、瞳から涙が零れる。
もし罪はないのだとしたら、僕は何故こんなに苦しいのだろうと。
何も変わらないのであれば、どんな形であれ、この愛が苦で終わるのであれば。
そう考え、僕は決めた。

*****

「零夜、僕と別れよう」

その声は思ったよりはっきりしていた。
あぁよかったと思った。

「わかった」

零夜は涼しい顔をしていて、僕の言葉を聞いてもなんとも思っていないようだった。
そのまま零夜は立ち去ろうとする。

「まって」

僕の言葉に零夜は立ち止まる。

「今まで、ありがとう、さようなら」

その言葉に「あぁ」とだけ返して、零夜は立ち去る。

これでよかったのだ。
どこかの本で、人は生きているだけで罪深いと書いてあったのを思い出す。
愛されてないとわかっていて体を委ねた僕は充分罪深いだろう。
この苦しみも、悲しみもすべて僕への罰だろう。

でもきっとこの苦しみを乗り越えて次の道へきっと歩いていけるから。
僕はまた、罪を背負っていくのだ。

Fin.

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