二次会はベッドの中で
人気アイドル『1-FLESH』の2人組、大雅(たいが)と颯真(ふうま)。親友のような仲の良さが人気の彼らだったが、実はプライベートは親友を飛び越えて恋人で。大成功をおさめた全国ツアー、ファンからの大歓声。ささやかな打ち上げのみで帰宅した大雅と颯真は、自宅につくなり2人きりの時間に蕩(とろ)けていって…
「改めて、ツアーお疲れ様ッ!」
「おつかれ」
人気アイドルデュオ『1-FLESH』の2人──大雅と颯真は、久しぶりに帰りついた自宅マンションで、そう声を掛け合った。3rdアルバムの発売記念で行われた、初の全国ツアー。それが昨晩やっと最終ライブを迎え、ツアーは大きなトラブルもなく無事に終了した。
「俺、自分の部屋に荷物置いてくるわ」
「じゃぁ、シャワー浴びてる」
「俺もシャワー済んだら、颯真の部屋行くから」
所属事務所がフロアごと借りているマンションに住む2人。部屋は隣同士で、どちらも1LDK。彼らの人気を思えば少々手狭ではあったが、多忙ゆえにほとんど寝に帰るだけの自宅だ。大雅も颯真も住居にこだわりは無く、お互い近い距離で過ごせるこの環境が何よりも気に入っていた。
「おじゃましまーす」
「…おぅ」
インターフォンも鳴らさず、勝手知ったる様子で颯真の部屋を訪れる大雅。そして颯真もそれを意に介する様子はなく、片手を軽くあげて反応しただけで、リビングのソファに腰掛けたままである。
「水、冷蔵庫に入ってるから」
「さんきゅ。後で貰うわ、多分」
身長185cm、筋肉質で逞しく、爽やかな印象の大雅。身長175cm、細身でスタイルが良く、クールな美形の颯真。2人は対極的でありながらも、パズルのピースのようにぴったりとはまる相性の良さを持っていた。加えて、ビジネスライクではない彼らの親友ぶりに多くのファンが魅了されていた。
「颯真…こっち向いて」
「…ンッ…ぁ…」
「疲れてるだろうけどさ、1回だけしよ?」
「やだって言ってもお前やるだろ…」
口では呆れた、あるいは諦めたような素振りの颯真も最初からそのつもりではあったため、一通りの準備は整えてある。人前に出る大きな仕事やライブの後は、お互いどうしても体や気持ちが昂ってしまう。マネージャーにさえも秘密にしている、人気アイドル2人の秘密の関係。
「ぁ…ン、ぁ…ベッド…」
「ソファじゃ、駄目?」
「終わったらそのまま寝る」
「だよね」
昨晩のステージ終了後、関係者だけ集まってバックヤードで簡単な打ち上げをした。当日中にしなければならない機材の片付け、客席のチェック、膨大な荷物や衣装の管理、各方面の協力会社への挨拶回りなど。スタッフ側はライブ終了後もやることは山積みで、特に今回の会場は過去最大のスケールであったため、諸々の処理は深夜まで及んだ。
「ぁ、ンぅ…」
「ここ何日か抜いてないから…ちょっと駆け足に、なるかも」
「それで、いい…ッぁ…ぁ…」
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