地味な事務員の副業は、可愛いすぎる男の娘でした (Page 2)
作戦の決行は2週間後の日曜日。有名人のmegu*から認知されているだけでなく、自分は個別に親密なメッセージのやり取りをしている特別な存在。そう信じ込んでいるken_555をホテルまで誘い出し、男の娘に熱をあげている証拠を押さえて、お灸を据える。瀬良は久しぶりに覚えるわくわくした気持ちに笑みを浮かべながら、その日のための衣装をネットの海で探し始めたのだった。
*****
「お待たせしました…」
今すぐにでも正体を明かしたい気持ちを抑えながら、ベッドへと腰掛ける牧島へ瀬良は歩み寄る。羽織っていたバスローブの前を寛げた瞬間、牧島の鼻の下がわかりやすく伸びた。透け感のある黒のベビードールに、レースのガーターベルトとストッキング。そして下着は布面積の小さい、紐タイプのビキニを選んだ。
「めぐちゃん、似合ってるよ」
「ありがとうございます」
今日は繁華街にほど近い駅前で待ち合わせ、挨拶もそこそこに、さっそくラブホテルへ。その道中、瀬良はさりげなく牧島の手の甲を小指で触れたり、ちらちらと視線を送ったり。あらかじめ、メッセージで性的な遣り取りを匂わせていたのも手伝って、ホテルへ着いた頃には牧島はすっかりその気になっていた。
「せっかくだから、写真撮りましょう?」
牧島を下着一枚まで脱がせた瀬良は、ぴったりとくっつくように隣へと座り、スマートフォンを構える。太腿を優しく撫でれば、牧島の股間はわかりやすく膨らみ、瀬良の腰へとまわす手にはイヤらしさが滲んでいた。
「めぐちゃん可愛いね」
「…もう1回、言って?」
「可愛い、めぐちゃんは世界一可愛い」
「ボクのこと、好き?」
「大好きだよ。ねぇ、本当にいいの? めぐちゃんとエッチできるなんて、夢みたいでさ」
先程のツーショットを保存したところで、瀬良はもう限界だった。いつも何かにつけて高圧的で、ときに理不尽なほどのからかいを仕掛けてくる先輩が…だらしなく頬を緩ませて、猫なで声で睦言を囁いている。その相手が、職場の後輩だとも知らないで。
「…フフッ」
「どうしたの? めぐちゃん、何か面白いことあった?」
「本当に、気付かないんだなって…」
「…え?」
瀬良は楽しくて仕方がなかった。もしかしたら、今が一番、人生で楽しい瞬間かもと思えるくらいに。
「…男の娘なんかに夢中になっちゃって。ねぇ、営業一課主任の、牧島賢悟先輩?」
「は…?」
「俺の声聞いて、わかりません?」
「お、お前…せ、瀬良…!?」
「…正解です」
最近のコメント