優しいカレシに『ラブホでなんでもする券』を渡した結果
祐太は優しい恋人の余裕のない姿を見たいがために、冗談交じりで『ラブホでなんでもする券』をプレゼントすることに。すると、想像以上にカレシの反応が良くて…!?こんなはずじゃなかったのに~!?優しいカレシの余裕のない姿にドキドキさせられちゃう!?
ガチャ バタン
「待って待って!ちょっと、佐野…!んん…」
ラブホテル一室の玄関。性急に口づけを交わす男が二人。
一人は俺、橘祐太。そして、もう一人は元同級生であり今は俺の恋人・佐野。俺は、佐野にラブホテルに連れ込まれて、なかに入る間もなく玄関で荒々しく口内をなめ回されている。
「んん…ぷは…佐野、ちょっと、タンマ…」
「これ、使わせてくれるんでしょ?」
佐野は1枚のカードを取り出して、俺に見せつける。そのカードには、「ラブホでなんでもする券」と、なんとも頭の悪い内容が書かれている。しかし、そんな頭の悪い券を佐野に渡したのは、紛れもない俺自身なのだ。
このカードのせいで、俺は佐野のスイッチを入れてしまったらしい…。
*****
すべての始まりは、数十分前。
今日は、佐野とデートの日。そして、佐野の誕生日でもあった。
居酒屋のサービスでお皿に名前入りのケーキを用意してもらったり、遠慮する佐野をよそにバシバシ料理を注文して、好きなものをたくさん食べさせたり、他愛もない会話を楽しんだりした。
そして、だいぶ出来上がった頃、プレゼントとして渡したのが例のカードだった。
佐野と付き合いはじめて3ヶ月。
いつも落ち着いていて、優しくて、余裕のある佐野。
夜の営みも俺から誘うことが多く、行為中は佐野はいつも俺のことを第一優先にしてくれる。
行為自体は好きそうだけど、あまり自分の欲を出さない佐野を少しからかってやろうという気持ちで、冗談混じりで用意したものだった。
実際、別で本当のプレゼントも用意していたし、カードへの反応を一通り楽しんだあとに、「本当はこっち」と言ってプレゼントを渡す作戦だった。
…だったのだが、佐野はカードを見た瞬間、俺の想像以上の反応をした。
「へえ…。ありがとう。最高のプレゼントだよ」
「え?」
もっと焦ったりすると思っていたのに、佐野はどこか落ち着いていて、しかしまっすぐに俺を見つめる目には、見たこともないような欲の炎が見えた。
「や、あの、佐野」
「祐太」
「は、はい!」
「ご飯、食べようか」
「あ、お、おう」
「このあと、ラブホでセックスするから。たくさん食べようね」
「へ?!」
カードにキスをしながら、佐野はにっこりと笑った。
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