新米淫魔と怠惰なエクソシスト (Page 3)
いつもの通りレオンに跨って腰を振っていたロアは、事態の急変についていけずにポカンとしていた。まともに会話を交わしたのはこれが初めてだが、レオンの低いハスキーボイスはなんともセクシーで、ロアの心臓は早鐘を打ち始める。
「お仕置き? ねぇねぇ、どんなプレイしてくれんの?」
「そんなお気楽で大丈夫か? 馬鹿は身を滅ぼすということを、教えてやろう」
「おい! 誰が馬鹿だって? 俺はすぐにでも最強になれる淫魔、の…ッひぅ…ぁ…」
「…誰が最強だって?」
無防備に身を乗り出したロアを一振りで払い除けたレオンは、素早く印を結んで呪(まじな)いの言葉を口にする。薄暗がりの部屋にはしる、雷撃のような閃光。一瞬の出来事に呆然と立ち竦んでいたロアは、床を鳴らした鈍い音の正体に気付いて悲鳴をあげた。
「あぁぁぁ! 俺の、羽根と尻尾ぉッ…!」
「貴様を殺すことは簡単なんだがな。俺は別に祓魔の数を誰とも競っているわけじゃないし、そもそも仕事は極力したくない」
「おい、戻せ! ふざけるなッ! 人間ごとき、俺にかかれば一発で」
「…どうやって俺を倒す? もう貴様には魔力は無いというのに?」
絶望のあまり座り込んだロアの瞳からは、大粒の涙がぽたぽたと零れ落ちてきた。これまで怖いもの知らずで生きてきた分、アイデンティティを奪われた瞬間に無力になってしまったのだ。
「今のでわかっただろう? はっきり言って、俺は強い。少なくとも、貴様のようなぺーぺーの淫魔など相手にならない」
「なら、今まで、どうして…?」
「暇潰しだ。一人の淫魔を監視している建前で、仕事もサボれるしな」
カタカタと震えて命乞いを始めたロアを滑稽だと思いながらも、レオンは言葉を続ける。
「その調子だと、あっちの世界でも随分と好き勝手やってたんだろ? 貴様が一人欠けたところで痛くも痒くもない、きっと誰も助けに来ない」
「そ、そんな…」
「だから、俺と暮らせ。淫魔でなくなったとて、人間の身体に馴染むまでは色々と大変だぞ。貴様がいれば夜も寂しくないからな。俺以外のエクソシストに祓われたくなければ、黙って俺に抱かれておけ」
「お、俺…いま、人間になっちゃったの?」
「そうなるように俺がした。丁度よく祓うのは、案外技術がいるんだぞ」
そう言ってニヒルに微笑んだレオンは、憔悴したままのロアを抱き寄せて囁く。人間になった貴様の処女はどんな味かな…と。
*****
「あぁンッ…ぁ…ぁ…」
「これくらいで、くたばるなよ」
濃厚すぎる口付けから始まって、巧みなレオンの舌遣いにロアはあっさりと陥落した。耳をなぞられ、首すじを食まれ、無骨そうに見えて案外器用な指先に乳首をこれでもかと捏ねられる。それでいて、ふらふらと揺れる花芯はなかなか触ってもらえず、ロアは腰をくねらせて愛撫をねだっていた。
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