今夜の客は、前世の恋人でした (Page 2)
馴れ馴れしい客は好まないリョウだったが、アキヒロには呼び捨てにされても許せてしまう。体のどこを触られても嫌悪感が湧かず、むしろリョウの方からも積極的にアキヒロの肌へと手を伸ばしていた。お金の分だけの奉仕が基本。そんなビジネスライクな常日頃とは異なり、リョウは自らアキヒロの全身を愛撫し、自身もそうして欲しいと暗にねだっていた。
「ッ、は、ぅ…ンぅ…は、ふ…」
「リョウはフェラ好きなの?」
「べつに…ンぁ…ぁぅ…そん、なに…」
「なのに俺のは一生懸命しゃぶってくれるんだね」
差し出された陰茎はアキヒロの肉体にマッチした立派さで、リョウは興奮を抑えることができないでいた。なぜだか手にとるようにわかる、アキヒロの分身の性感帯。これは仕事だと心の中で何度も唱えながらも、後ろの疼きがやまないリョウは、手をもじもじと動かしながら己の下半身を慰めていた。
「顔射ってオプションだよね? やっぱ後付け、駄目?」
「ほんとは…だめ、なんですけど」
「…でも、リョウは顔射好きだよね?」
リョウの頭をよぎる不鮮明な記憶。それに溺れて蕩けたリョウは、気付けばアキヒロの竿を夢中で扱いていた。はくはくと震え始めた鈴口を額へと近づけて、従順な仕草でゆっくりと目を伏せる。
「…ッ、く…はぁ…すげぇ、出た」
生温い白濁、むわりと匂い立つ雄の香り。鼻梁を滴る体液の感触に、リョウは歓喜で打ち震えていた。そしてそのままの勢いで射精し、余韻に浸る過程でぼんやりとアキヒロの顔を眺めて気付く。自分は、アキヒロを知っている。それどころか彼に抱かれたこともあるような、気さえしてきて…
「ねぇリョウ、そろそろ思い出してよ」
「お…思い出すって」
「俺たちさぁ…前世で付き合ってたじゃん」
後ろから抱き込まれ、切なげな声とともに耳を食まれただけでリョウの腰は震えた。想いと情欲は溢れてくるというのに、記憶だけが追いつかない。頭の片隅に残る理性でアキヒロの手を制しながら、リョウは掠れた声を絞り出した。
「本番…だ、め…」
「じゃぁ何で俺に尻擦り付けてんの? 指もほら、入っちゃうよ?」
「指も…ぁッッ…ン…だめ、だから…」
タイマーを見れば、残り時間は30分を切っている。体をよじってアキヒロの腕の中から抜け出そうとするも、屈強なそれはリョウを離そうとはしてくれない。それどころか、這わされた指先に乳首を捏ねられた瞬間、リョウの唇からは甘ったるい吐息がとめどなく零れた。
「お店…時間…」
「60分、延長しよっか」
「…ぁ…う、ん」
リョウが店への連絡を終えた後には、アキヒロからの熱烈な愛撫が待っていた。少しでも気を抜けば、繊細な砂糖菓子のように溶けて崩れてしまいそうだ。今は店のルールを破ってしまった後ろめたさなど、感じている暇はない。アキヒロの声も匂いも全てがリョウの脳細胞に染み渡って、本能的に体が開いていった。
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