これからのふたりは (Page 2)

「ほら口開けろ」

ペットボトルを唇に付け、ゆっくりと傾ける。

「…ん、む…?」

陽太が、んくんくと水を飲み下すのを確認して悠二はほっと胸を撫で下ろした。実は密かに飲ませ過ぎたのかもしれないと少し心配していたのだった。

そして途中までは順調に口の中へ流れ込んでいた水は次第に口の端から溢れシャツを濡らしていく。

「あ…ちょ、」

慌てて口からペットボトルを離すが時すでに遅く、陽太のシャツは水が滴り、胸元は肌に張り付いていた。

「んー…」

陽太は濡れた胸元に手を伸ばしてぺたぺたと触って居心地悪そうにしてから徐ろにシャツのボタンに手を伸ばす。上から順にひとつ、ふたつと外して肌が見えていく様に、悠二は知らず知らずのうちに目が釘付けになっていた。

鍛え上げられた大胸筋ははちきれんばかりに盛り上がり、腹筋にも隆起した筋肉がバランスよく配置されている。悠二自身も鍛えてはいるが、だからこそここまでの仕上がりの身体を見せられると思わず感心してしまった。

ついっ、と腹の隆起に指を滑らすと、それがくすぐったかったのかうっすらと陽太の目が開いた。

「ん…なに…?」

「気が付いたか、酔っ払い」

指先でするすると腹筋をなぞりながら悠二は陽太の顔を覗き込んで、とりあえず近くのホテルまで連れてきてやったぞと告げた。

「あー、ごめん俺、なんか今日すげー酔ってるみたい…」

「ここまで連れてくんの大変だったんだぞ」

「今度お礼するわ」

「おー」

腹筋をなぞっていた指を滑らせて何気なくふくよかな大胸筋をつんつんと押せば、それは想像以上に柔らかく指が沈み込む。おぉっ…と感嘆してさらに手のひらで包み込むように胸を揉みしだくと、それは手のひらのなかでむにむにと形を変えた。

「ん…なに…?」

「お前、胸すごいやわらかいな…」

「まぁ鍛えてる、から」

筋肉のたくさんついた身体はただでさえ体温が高い。加えてアルコールを摂取した身体は白い肌がほんのりと赤らみ、まるで情事の最中を連想させる。

「…そんなつもりじゃなかったんだけどな」

一度そう見えてしまうと想像が止まることはなく、悠二の指はするすると上がっていき唇まで辿り着く。血色良く色付いた唇を少し開くと赤い舌が覗いて、悠二はごくりと喉を鳴らした。

「…悠二?」

「…お礼ってこういうのでもいい?」

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