ご注文は特殊シチュですか?
中嶋リクは特殊なセックスシチュエーションを好んでいる。役者の端くれである谷部ハルキは恋人の注文に応えようと毎回奮闘しているが、彼のお眼鏡に適うロールプレイをするのは難しく、上手くいかないこともしばしば。今夜も無理難題を思い付いたリクはニコニコとハルキの元へと帰るのだった。
「何するんですか!!や、やめろ……!」
手を掴まれて壁に押さえつけられる。
激しく抵抗する俺の腕を乱暴にキツくひもで縛って、目の前の男は満足げに微笑んでいる。
「ふふ、かわいいね。もっと叫んでくれてもいいんだよ。誰も助けになんか来ないからさ」
「う……い、痛い……」
そう言われて胸に絶望感が広がる。
そんな俺の顔を嬉しそうに見つめると男は無理矢理キスをしてくる。身体をベタベタと触って、恥ずかしいところへ手を伸ばされる。
「ひっ……!」
下着の中に手を入れられていきなり秘部に触れられる。性器を強く握ってパンツの外へ露出させ、それを扱いてくる。
「ん、あ、あ……」
「どう?気持ちよくなってきた?そりゃあ男の子だもんね。こうされたら感じちゃう」
何度も何度も上下に動かされてだんだん感じてくる。快感に体が震える。早く、早く出したい。気持ちよくなりたい。
限界のところで性器を握りこまれ、根元からぎゅうっと扱かれる。
「あ、ちょっと、あ……あぁああ!」
性器から盛大に欲を吐き出して、気持ちよさにぼうっとする。そうしてニコニコと俺の感想を待っている男の顔を見てはっとした。
「……って!違うだろ!普通に気持ちよくしてくれてどうするんだよ!ハル!」
「あれ?違った?」
ニコニコ笑顔が一転、きょとんとする。
実はこのハルと呼ばれた男は、俺の恋人だ。
恋人なのになんでこんなことをしているのかって?
そりゃあ俺がスリルのある特殊なセックスを愛しているからだ!
ハルは甘く優しいセックスをしてくれるんだけどそれだけじゃどうしても物足りなくて、気分が乗るようにいろいろなシチュエーションを演じてもらってるんだ。
偶然にもハルは役者のたまごらしく、俺を喜ばせることと演技の練習が同時にできると言って毎回快く引き受けてくれる。
「違うよ!そこで焦らしていじめてくれなきゃ!
今日は他人に襲われるシチュエーションでするんだからさ!」
「そうかぁ……なかなか難しいね」
そう言いながらふむ……と考える仕草をする。
元々普通の性癖をもったハルには随分無理させている気がするが、『リクのためなら』といつもいろいろ頑張ってくれている。
過去こういうお願いをして何人もの恋人に逃げられている俺としては実際頭が上がらない。
「手を縛ってくれたところは最高だったし、言葉責めもすっごいきゅんとした!
今日はちゃんと後ろの準備もしてあるからいきなり入れて大丈夫だから、もうちょっとだけ厳しく怖い感じの演技をお願いしますハルさん!」
「はーい。わかったよ。腕の見せどころだね」
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