フォレスト・イン・レイニーデイ (Page 3)
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これは現実だろうかと思わず疑ってしまう光景が、俺の前に広がっている。
「あっ、ぁ…!んぅ、ぁん…っ、さのくんっ、あ…」
何も身に纏っていない生まれたままの姿をした森野さんが、俺の身体に跨り腰を振っていた。
普段の慎ましやかな彼からは考えられない乱れた姿に、俺は目眩を覚えつつも快楽に身を委ねる。
「もりの、さん…っ、すごい、きもち…ぅっ、ぁ」
生まれて初めて味わう感覚に身を震わせながら、僕は舐め回すように森野さんの身体を眺めた。
白い肌は上気し、眼鏡越しに見える目は潤んで、薄い唇から漏れる切ない嬌声は、普段の低い声の存在感を霞ませる。
「いや…っ、あんまり、見ないで…っ、んん」
鼻にかかる声で、森野さんは言う。今更、恥ずかしそうに顔を覆うような仕草をしたって遅いというものだ。
「森野さん、僕のこと名前で呼んで…っ」
「ぁ、あ!」
「ん…っ、ねぇ、景市さん…!」
腰を掴み突き上げながら耳元でそう言うと、森野さんーーいや、景市さんの中は大きくうねった。顔は泣いているけれど、どうやら嬉しいようだ。
僕は調子に乗って腰を動かしながら、嬌声をあげ続ける彼にまた囁く。
「景市さん、僕の声好きなんだよね…っ、ねぇ、今どんな感じ…?」
「んうぅ…っ、あ、あぁ…っ、す、すご…、あ…」
「教えてよ…っ!」
「んぁ!?あ、ぁ…っ」
少し意地悪な質問をして、まともに返答できずにいる彼を目覚めさせるように奥を突いた。
「あん…っ、すごい、佐野く…葵の声…聞くと、身体じんじんして…っ」
「…」
「…今は俺だけが、この声独り占めしてると思うと…っ、すごく、感じちゃ…っ!ぁ、あっ」
「…景市さん!」
僕は耐えきれず、体勢を変えて景市さんを組み敷いた。いわゆる正常位で、彼の熱い胎内を味わう。
あまりの気持ちよさに、脳内の思考回路が次々に焼き切れる感じがした。優しくしたいけどそれも叶いそうにない。僕はただ欲望のまま、景市さんの細い腰を掴んで射精に向かっていった。
「イく…っ、景市さん、僕、イっちゃうよ…!」
「あんっ、んあ、良いよ、葵、俺の中でイって…っ!あ、あぁあ!」
景市さんは一際大きな声を出した後、僕を強く締め付けながら絶頂を迎えた。僕もそれに釣られて、ゴム越しに彼の中で射精する。
僕たちは、しばらくお互い自分の息を整えるのに必死だったが、やがて顔を見合わせて笑った。
「…僕、まだ信じられないよ。景市さんとこんなことしちゃったなんて」
「俺だって、まさか君とこんなことになっちゃうなんて思いもしなかった」
「誘ったのは貴方じゃないですか」
「ふふ、確かに…」
帰ったら曲を書いて、明日からまた路上で歌おう。
今度は隠れないで真正面で僕の歌を聴いてね、と言うと、景市さんはいつもの調子で穏やかに笑った。
Fin.
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