童貞聖騎士おじさん、シスターに抱かれて無事非処女デビュー (Page 2)

「あ、あの…ミシェル…これ以上は…」

アルファードの属する聖騎士団には、鉄の掟がある。聖騎士とは清らかなる身を神に捧げるものとされており、女を知ってはならぬというもの。とどのつまり団員はすべて童貞でなくてはならないのだ。シスターも同じ理由から処女でなくてはならない。ふたりは口付けを交わし抱きしめ合うことはあれど、基本的にはプラトニックな関係を貫いていた。

「…律儀にそんな決まり守っていらっしゃるのはアルファード様ぐらいなものですわ」

「いや、だがしかし…」

「ほかの方達が…どうしていらっしゃるかご存じですか?」

アルファードの首筋にか細い指がつつっと滑り、服の合わせの隙間から鎖骨を爪先で軽く引っ掻いた。

「どう、とは…?」

頬が熱くなっていくのを感じる。ミシェルと恋人になってしばらく経つがこういった風に触れられるのは初めてのことだった。

「それはもちろん、性交渉のことですわ」

「せっ…!?」

「まぁ!言葉の意味はご存じみたいですわね」

そういった知識はお持ちでないのかと思っておりました、とミシェルはくすりと微笑んだ。

「シスターは処女を、聖騎士は童貞を守ることができれば、あとはなにをしても大丈夫だそうですわよ」

だから、ね?とミシェルはアルファードの手を取り、そのまま胸元からのぞく白い肌へ導く。アルファードはごくりと唾を飲み込んだ。

「わたくしの処女は差し上げられませんが…それ以外のことでしたら…」

ほんのり濡れた唇が描いた蜜のように甘いお誘い。アルファード自身はさながら花に焦がれる蜜蜂のような存在で、そんなご馳走に抗えるはずもなく、おずおずとミシェルの服のボタンにゆっくりと手に掛けたところで、修道服にぽたぽたと血が落ちる。不思議に思っているとミシェルにハンカチを差し出され、それが自身から出ている鼻血だと気が付いたのだった。

*****

「こちらですわ」
アルファードはハンカチで鼻を押さえたままミシェルに手を引かれて廊下を歩いていく。聖堂から程なくして辿り着いたのは、彼女の自室だった。

部屋に着くとアルファードはベットに腰掛けるよう促され、その通りにする。鼻血が止まったのを確認してから、濡らした布巾でミシェルが顔を綺麗に拭った。

何気なくベットに座っていたアルファードだったが、鼻血の件が落ち着いてみるとつい意識してしまい心臓がばくばくと高鳴った。部屋に入ってすぐには気が付かなかったが、むさ苦しい騎士の宿舎とは違いとてもいい匂いがしている。女性の部屋に来ているのだとむざむざと突きつけられて、隣に腰掛けているミシェルの顔を見ることもままならない。

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