竜宮北別館は男の花園!?~世話焼き乙彦の家臣仲人計画~ (Page 5)

「お前それ…」

 亀之助の美貌とは不釣り合いな不格好で厳ついペニス。人間化しているとはいえ、亀の雄がこれほどにまで立派なイチモツを持ち合わせているとは、思いもしなかった。

「貴方様の子を望みながら勃ってしまうなんて…私もやはり、雄なのですね。貴方様が私を痛めつける子供たちの前に立ちはだかってくださった瞬間から、身体が熱くて…。さきほど、海面へ出たでしょう?貴方様の子を産むのだと妄想しながら産卵し、カモメと喧嘩したのですよ――笑ってくださいな」

 これで彼が海面から戻ってきた際に増えた傷の理由がわかった。乙彦が話していた通り彼は今日も無精卵を産み、孵化することのないそれを命懸けて守り抜いたのであろう。

「亀之助…俺たちが“ダチ”だってのは、撤回する」

 “友達を辞める”の言葉に亀之助は凍りついたように固まる。俺はすかさず彼を強く抱き締め、耳打ちした。

『ダチは辞めて、伴侶ってのになるよ。俺と婚姻の契りを交わしてくれ――もうお前1人を苦しめたりはしねぇ』

*****

「待っていたぞ、磯浦殿。亀之助も…よかったな」

 風呂から上がった俺らを待ち構えていたのは、家臣たちと戯れていた乙彦であった。彼は俺と亀之助の顔を交互に眺めると、浴室の向かいにある襖(ふすま)を開けた。畳敷きのそこには真っ白な布団が1組だけ置かれている。営みを行う目的で設置された寝床のようだ。

「準備は整っておる。だが…亀之助は産卵直後の身体でお主に初モノを捧げるのだ。手加減してくれないか?」
「…わかってるよ」

 襖を閉める直前、乙彦は俺に念を押すようにそう言ったのだった。

「…本当に私を抱いてくださるのですか?」

 湯上りで湿った帯を解いてから布団の上に座り込むと、怪訝な表情を浮かべた亀之助が俺に確認するよう口を開いた。

「それはこっちのセリフだよ。お前を助けたのは俺じゃねぇ…“浦島太郎”って男のハズなんだ」
「私…浦島様という方は存じ上げませんが…?」

 ここは【竜宮北別館】――そう“別館”なのである。
 亀之助に確認すると、この海域より少し南にいったところに美しい乙姫様が待つ“竜宮城”と名のついた本館が存在するらしい。つまり俺と浦島太郎は全くの別人。俺は浦島太郎の代役としてこの世界に入り込んだのではなく、今このとき…同一世界線上に存在する赤の他人ということになる。

『――磯浦殿。亀之助には秘密だが、お主を外部から呼び寄せたのは、アヤツなのだ。何日か前に私が“赤糸の術”を掛けてやったのだ。自身の運命の相手を引き寄せる強力な色恋術を、な』

 襖の向こう側で咳払いをした乙彦は俺にだけ聞こえるような小さな声でそう呟くと、足音だけを残してどこかへ去って行った。

(運命の相手が…俺?)

 運命。たった4文字の言葉を噛み締めるように唱えると、亀之助もコクンと頷いた。それを皮切りに、彼のイき果てる姿が見たくてカリ首から尿道口までを手の平で一気に扱いた。想像を絶する快感からなのか、亀之助は大きく身体を撓(しな)らせ、悲鳴を上げたかと思うと、簡単に体液を放ってくれた。

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