コンビニのバイトを始めたわけだが?
派手髪ピアスの笹崎はコンビニのバイトを始め、明るい未来を夢見ていた。しかし、シフトはいつも、地味で年下の研修リーダーだった佐々木とばかり。たしかに、バイトでは先輩の佐々木だが、人生では自分のほうが経験豊富だと自負していた笹崎。佐々木に対して、答えにくい質問をする笹崎だったが逆に経験豊富なところを見せつけられて身体を弄ばれてしまう…――
俺はバイトを始めた。コンビニだ。
家から近いし、時給もいいし、暇な時間出勤できるし。
何より楽そうじゃん~コンビニ!
でも、一つ気に食わないことがある。
なぜ深夜の時間帯は一人で勤務できないんだ?一人で勤務だったらスマホでエロ動画も見放題なのに!
毎回、深夜は研修リーダーだった年下地味ボーイと一緒だから話もはずまねぇし。
「っーあ、いらっしゃぃやせー」
パパパッとレジ打ちをすませて、店内をうろうろしてはまたレジ内に戻る。
深夜の時間帯、特に人も来ない時間だ。
可愛い女の子と二人っきりならまだしも…。つまんねぇ…。
横に並ぶ佐々木の顔を見る。黒ぶちメガネ。
邪魔じゃねぇの?ってくらいの長い髪。
髪も真っ黒で、染めたことなさそう。いかにもオタクくさいやつ。ひ弱そうー。
初めて会ったときも思ったが、俺は今までかかわったことがねぇタイプだな…。
佐々木がレジ金の確認を始める。
やけに白い指がレジのボタンをはじいて、札を数える手際のよさで、どんな顔をしているのか気になって、再び横顔を見る。
―――こいつ、キレイな顔してんな…
あれ?俺、今何考えた?
「笹崎さん…履き掃除してくれない?」
「あ、さーせん」
佐々木に注意される。
俺はモップを取りに、レジ横奥にあるスタッフの部屋へ入ろうとして、ふと足元のダンボールに気付いた。
「あ、佐々木さん、この本まだ陳列してなくないっすか?」
佐々木がメガネを直して鋭い視線をこちらに向けながら向かってくる。
しゃがんで指さす俺の横に見下ろす形で佐々木が立つと、ふわりと女の子みたいな甘い香りが流れてきて一瞬くらっとした。
―――佐々木よ、なんでそんなにおいすんだよ。
「やばくねーっすか?午前のメンバー忘れたんすかね?」
佐々木がダンボールに手をかけて雑誌を取り出すと、女性のマイクロ水着姿がでかでかと映った表紙が露わになった。
「うぉー」
俺が興奮して声をあげると、耳まで真っ赤になった佐々木の顔が見えた。
目を大きく開けて、口をとがらせてる。
いつも無表情な佐々木が、だ。
「あ~恥ずかしいんすか?佐々木さん彼女とかできたことある?」
立ち上がって佐々木の持っていた雑誌を奪うと、中でも一番卑わいそうなページを広げて見せた。
「これなんかよくないっすか?俺、勃ちそう~」
佐々木が顔をそむける。
背は俺より高いが、人生経験は俺の方が上なようで嬉しくなってきた。
「あ、もしかして経験まだっすか?まぁまぁ、俺のほうが年上だからさ!こうゆう話はいろいろおしえ…」
俺の腕をつかんで佐々木がいきなり壁に追い込んでくる。
驚いた拍子に雑誌が床に落ちた。
床に落ちた雑誌を目で追うと佐々木の顔が目の前に入り込んできて、唇に柔らかい感触と温かいものが歯の間を塗って入ってきた。
「ん、にすんだよ!」
佐々木を突き飛ばして、部屋から焦って出ようとすると、腹を蹴られた。
「――――って!」
佐々木が俺の上に跨る。
胸ぐらをつかまれて、口の中に何か放り込まれた。
―――アメ?
「これ、効きます?新製品のアメみたいですけど、体が数秒で熱くなりません?」
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