にゃんこ系ホスト様 (Page 4)
嗅ぎ慣れた煙草の匂いにつられて目を覚ますと、ベッドに腰掛けながら煙を吐き出す順平の背中が見える。
結局あの後どうなったのかわからないが、何となく深夜だろうなと思う独特の空気があった。
片腕をついて身を乗り出し、腰に腕を回すと小さく笑った順平が振り向いて俺の髪を撫でる。
「とても可愛らしかったです、最高の記念日でした」
「出張はどしたの」
「予約は昨日だったので、終わってすぐに新幹線に乗りました。晴喜さんの可愛いところを見られるかなと、…こう」
そう言いながら寝室の観葉植物に近づいて行った順平は、葉っぱのちょっと上ら辺に張りつけられていた小型カメラを取って俺に見せてくれた。
あー、俺の身長だと地味に見えにくい位置だなって思いながらぶっ壊す。
「あ。それ結構高かったんですよ」
「あ、じゃなーいっ」
「すみません、でも可愛らしかったですよ」
「そういうことでもないだろ!せっかくの記念日にやることかよ!」
「少し不安だったんです。晴喜さんはとても可愛らしくて格好よくて、俺には勿体ない人なので…」
「そういうの嫌い」
「そうですよね、でも…だから俺の名前を呼んでくれて、嬉しくて…」
俺だって背が高くて優しくて真面目で料理も上手で巨根で、欠点が何もない順平がなんで俺を好きでいてくれるのか不安だった。
我儘言って嫌われたくないとか、セックスばっかりで嫌になってないかとか、確かに不安はある。
試されたみたいで腹は立つけどそれだけ不安もあったし、不安になるくらい俺を好きでいてくれるってことでもあるから今回はまあ許す。
お互いパンイチのまま煙草を吸って、肩を寄せ合う。
シャンパンもプレゼントもない初めての記念日を噛み締める。
Fin.
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