我慢の音
自分の中から聞こえる欲望の音に寝つけずにいた葵は、目の前で眠る恋人をオカズにオナニーを始める。本当はもっとしたい、触れたい、そんな考えを巡らせていると目を覚ました恋人が…?寝たふりなんてできないラブラブエッチ!
普段は気にもしない時計の針が妙にうるさくて眠れない日のように、どうしても寝つけない夜がある。
落ち着かないつま先を擦り合わせて意識を逸らそうとしても、俺の中の音は消えそうにない。
向き合って眠る恋人の颯太を起こさないように、パジャマをずり下げてペニスを握る。
トク、トク、と掌に伝わる脈と、ほんの数時間前まで颯太を受け入れていたアナルがヒクつく感覚。
散々抱き合った後なのに寝ている颯太を起こすのは悪い気がして、颯太の寝顔とさっきまでのセックスを思い出しながら半勃ちのペニスを扱く。
布団の中で聞こえる、布と腕が擦れる微かな音。聞こえるはずがないのに、体の奥がきゅんって音を立てているみたいだ。
指で作った輪で竿の根元から擦りあげ、雁首で一度止まった指を下方へ戻す。
何度か繰り返す内に先走りが指絡み始めてぬる、にゅち、と音が増えていく。
元々オナニーは週に三回はやっていたし、どちらかと言えば性欲は強い方だ。
平日は仕事で疲れているし、帰宅時間も合わないから俺と颯太がセックスをするのは大体週末。
週末に溜め込むだけ溜め込んだ性欲を爆発させてすっきりしてまた来週がお決まりになりつつあるけれど、時々こうして物足りなさを感じていた。
一気に解放するのもいいけれど、程々にヌくのも大事なんだろう。
「…ん、…っ…はぁ、…」
平日ど真ん中でもムラムラする日はある、でも家に帰れば大体俺より先に颯太がいるから週末まで我慢している。
というのも、颯太は俺と違って性欲が強い方じゃないと思うからだ。
四六時中とまでいわずとも、疲れて帰ってきてるのに恋人がオナってたら放っておくのもなんだかなと俺なら思う。
別にセックスじゃなくてもいいからヌいてほしいなんてとてもじゃないけど言えない。
それこそ体目的っぽい感じがするし、言いにくいんだ。
元々性欲は強かった、その上大好きな恋人と同じベッドで寝ているんだからそりゃムラムラもする。
朝起きて飯を食って、仕事に行って帰ってきたら飯を食って風呂に入って、スキンシップはあまりない。
スキンシップがあったらもう少し落ち着くのか、逆に止まらなくなるのか、試してみたいけどそれを言い出すことが俺にはできずにいる。
週末のセックスさえ俺に合わせてくれてたらどうしようなんて、恋をすると恐ろしく弱気になるらしい。
嫌われるのが怖いと思いながら、聞こえる寝息に興奮している。
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