我慢の音 (Page 2)
もう少しでイけそうだけど、俺の中で音が聞こえた。きゅん、きゅう、みっともなくねだるような音。
先走りで濡れた指を股座に押し込んでアナルに触れれば、その音は益々大きくなって俺の劣情を煽った。
くぷ、ぬるる、さっきまで颯太のペニスを咥えこんでいたアナルは指くらい簡単に飲みこんでいく。
「…葵?」
指を入れて、関節を二つ越えたらペニスの方に指を曲げる。そこにあるのが俺のイイところ。
指腹で軽く撫でて位置を確認し、快感に備えた瞬間俺を呼ぶ、甘ったるい寝惚けた声。
眠たそうな顔で俺を見る颯太と目が合った。指の動きはピタリと止まる。
「どうしたの、暑い?エアコン入れるか?」
「だ、大丈夫。なんかちょっと変な夢見たのかもなぁ、なんて…」
「そっか、でも俺は暑いかも」
リモコンを取ろうと起き上がる颯太の動きに合わせてアナルに突っ込んだ指を抜けばぬぷっと音が立つ。
ほんの小さな音だ、多分俺の中でしか聞こえないような音。
颯太はそれっきり何も言わずにベッドから降りて寝室を出ていった。
ドアの向こうから聞こえる音に集中し、ガラス戸を開ける音やテーブルに硬いものを置く音から察するに多分飲み物を用意しているんだろう。
水分補給をして戻ってくるとして、その間にヌくことはできない。どう頑張っても今からじゃ間に合う気がしない。
かといって萎えさせられるかと言われるとそれも微妙だ。
颯太が寝室に戻る前に俺は体の向きを変えて横向きになり、寝たふりを決め込んだ。
また寝息が聞こえ始めたら、トイレに行ってヌいておこう。
「あれ、葵寝ちゃった?…もう少し起きててほしかったな」
予想通り水分補給を済ませて寝室に戻ってきた颯太は、ベッドに腰をかけたっきりなかなか動こうとしない。
早く横になって寝てほしいのに、俺の髪を撫でて黙っている。
セックスの最中は撫でてくれることもあるが、それ以外で颯太の方から触れてくるのはいつぶりだろう。
昔は結構ちょっかいを出しあっていたななんて考えて、胸の奥がもやっとする。
そうだ、付き合う前までは肩を叩いたりふざけて膝枕をしたり、一緒にシャワーを浴びたりもしていたからスキンシップは多かった。
それが付き合ってからはハイタッチすらしないし、セックス以外で颯太の裸も見る機会がない。
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