ツンデレ弱虫とポーカーフェイスの犬 (Page 3)
「…涼ごめん。俺嬉しくなったんだ」
意識が戻ると体はきれいにされていたし、俺は拓斗の腕の中にいた。
小声で拓斗が話しているから、なんとなく寝たフリをした。
「ほんとは俺じゃない方がいいのかなーとかさ」
「っ…」
俺はこんなにも…、大切な恋人を苦しめてしまってたのか。
「めっちゃ愛してるって伝わってないのかなーとか」
くっそ…、泣きそうだ。
顔を少し下に向けよう。きっと聞かれたくないだろうし。
「涼?起きた…?」
だめだ。涙が出る。
「涼、泣かないで。起こしちゃったな、ごめん」
「ちが…!俺、ごめん」
「謝んないでよー、最後まで聞いてないくせにー」
「だって俺の性格のせいで傷つけちゃったし…」
「ばーか、最後まで聞いて?俺はね、涼がデレたくなるくらいいい男になって」
「じゅうぶんいい男だよ」
「しーっ!んで、涼がデレ100パーセントになるまで離してやんないって決めたの!」
「100パーセントになったら離れんのかよっ…」
「離れられると思う?あとは涼さえその気になってくれたらさ、くたばるまでずっと一緒にいられるな!」
「プロポーズかよ」
「やっと笑ってくれた。そうだよ全員敵に回しても、涼しかいらない」
「愛してる」
俺も、といってキツく抱きしめてくれた。
こんなに愛したことは今までにないし、この先もないと思う。
「す、素直になるの頑張る…」
拓斗の顔は見たこともない程とろけて、いつもの余裕は全くなかった。
だけどたまにしかいってやんない!もっと俺に溺れてしまえ。
Fin.
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