40歳、今更ですが (Page 5)
「金子?おい、どうし」
「っあ…あ、イ…ッんぁ!」
心不全じゃないだろうなと心配になって顔を覗きこむと、顔を真っ赤にして表情を歪めた金子と目が合った。
目が合うなり視線を逸らして、また不自然に跳ねる腰。イった直後だというのに、何もしていないのにイっているらしい様子に疲れたはずの陰茎が頭をもたげる。
始める前に両方したいといっていたが、これは俺が悪いわけじゃないだろう。
息子が萎れないよう扱きつつ新しいゴムをつけてヒクつく孔に押しこめば、それだけでイけるのか焦点が合わないまま足先をピンと伸ばして絶頂する。
ドライはお互いに経験しているがこんなに長くイきっぱなしになるのは初めてだ。
浅く抜き差しするだけで甘ったれた声を漏らし、萎えたままの陰茎が互いの腹の間で情けなく揺れる。
「すごいな、まだこんなもん隠し持ってたのか」
「は、うぁっアッしょんべ、漏れ…ッ、…ああぁっ!」
もう一回くらいはイけるだろうと陰茎を握って亀頭を指腹で撫でてやれば未だかつてないほど乱れながら体液を噴き出した。
男でも潮を吹くと噂には聞いたことがある。何年やってもその機会はなかったから、てっきり俺たちは潮吹きできない体質なんだろうと思っていた。
想像以上にびっしょりと濡れたが、さすがに恥ずかしいのか腕で顔を覆い隠す金子に胸が高鳴る。
喘ぎっぱなしの唇を塞いで明日のことさえ考えず、ただ目の前で泣き乱れる金子の身体を貪った。
*****
「あれ、どうすんだよ」
「あれ?」
「結婚がどうのって」
「ああ、するか。おっさん同士でも結婚できるんだ、いい世の中になったよな」
久しぶりに声が枯れるほどに激しく抱き合って迎えた朝、煙草に火を点けながらモーニングメニューに目を通す。
お互いシャワーを浴びる気力もないから今日はこのまま連ちゃんで泊っていこうか、そんなことを考えながら煙を吐き出すと後ろから頭を叩かれた。
叩かれた弾みで灰が落ちそうになり、慌てて灰皿に煙草を押しつけると無精髭を撫でながら視線を逸らす金子。
「…お前の気が変わらない内にしたいんだけど」
「今更変わるかよ。じゃああれだな、とりあえずマッサージしてから行くか」
今更照れてそっぽを向く金子に絆されて、筋肉痛の酷い身体に鞭を打つ。
いくつになっても変わらず金子を好きだと証明するために、俺たちは古びたホテルを後にした。
Fin.
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