豹変×主従 (Page 2)

「春間(はるま)もかっこいい『明臣様』がいい?」

「…そうですね。ですが私の前ではいつもの貴方でいてください」

「でもさっきは『泣き虫のおぼっちゃまじゃ困る』って言ってたよ」

「それは…。でしたら私の前でもしゃきっとできますか?」

「春間がしろって言うなら僕はなんだってしてあげるよ」

「でしたらしっかりしてくだ──」

 でも、と明臣様は私の言葉を遮った。

 私の膝にまたがりながらベッドへと押し倒し、ネクタイに手をかける。

 シュルッ…と音をたてながら、明臣様はペロリと自身の唇を舐めた。

「〝俺〟になったらお前を抱くことになるけどいいの?」

「そ、そうではなく…」

「泣き虫な僕は嫌なんだよね、春間」

「あき…」

「なら答えは一つだ」

*****

 我が主は様々な顔を持つ。

 メイドたちが知らない明臣様がいくつもいくつも、私の前にだけ。

 身ぐるみはがされ、バッグで主を受け入れる。

 良質なベッドは男二人を受け入れ、明臣様が激しく動いたところで音一つたてない。

 私の喘ぎ声と、明臣様の吐息、お互いがつながる秘部のいやらしい音だけが部屋に響いた。

「あき、おみさまぁ…! 私は、わた、くしはあぁっ!」

「春間の前で僕がかっこよくなるときってどういうときだっけ? 昨夜もしたのにもう忘れちゃった?」

「そんな、ことは…ッ! 私はただ…あっ!」

 胸の先端を引っ張られ、身体がのけぞる。

「春間の前でもシャキッとして、当主らしいところを見せろってことでしょ」

「わかってらっしゃるのなら…あッふぅんっ」

 でもさ、と明臣様は言葉を続ける。

 そして私のあごを上にあげて、唇を重ねた。

 唾液が絡むいやらしい音をたてながら、明臣様の舌が私の口を犯す。

 歯列をなぞり、上あごを舐めながら舌を絡ませた。

 口内に流れ込んでくる唾液をゴクリと飲み込むが、それでもあふれる唾液が口の端から零れる。

 明臣様とのキスは気持ちよくて、体勢を変えながら自分の立場も忘れて『もっと』とねだった。

 だけどそれは許されない。

 唇が離れ、明臣様は私の顔から手を離す。

「ぁ…明臣様…?」

 明臣様は後ろに手をついて、私の中からも出て行ってしまう。

 そしてゴムをはずして投げ捨てた。

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