はなのいろかおる (Page 2)
「できたよ」
関谷さんの優しい手が俺から離れていく。
塗ってくれたマニキュアは俺の爪に映えて、俺の手が、俺ではないように見える。
俺の顔がよほど驚いていたのか、関谷さんが顔を覗き込んで微笑む。
「似合うと、思ったんだ」
頭がくらくらする。
―――でも、俺は、仕事だから。
「この手で…フェラ、したら関谷さん…嬉しい?」
驚いた表情で俺を見た関谷さんはうつむいて「セクシーだね」と小さく言った。
時間は残り30分。
俺は再び大きくなった関谷さんを口に含む。
舌と手を使って、舌を亀頭に絡めて、関谷さんの期待に応えるように頭を動かして。
始めは口の先や唇で楽しむ。舌先でチロチロと舐める。
それからゆっくり焦らすように、亀頭だけを舌で舐めて口に含んでしゃぶりつくしていく。
陰茎がまた少し硬くなったら一気に喉の奥まで―――
鼻につく独特の香りが興奮を増幅させる。
喉付近の奥深くまでくわえ込んで、吸い上げる。何度も、何度も。
ガチガチに硬くなった陰茎は、口から出すと唾液と先走りで塗れでドロドロに濡れていた。
「しょっぱい…さっき、出したばっかりなのに元気だね」
指で関谷さんの男根を弄ぶ。
プラム色の爪が男根とのアンバランスさを醸し出して興奮する。
またがれば、次は下の口で関谷さんをくわえ込む。
「ぅッ…あっ、あぁ、見て?」
ずぶずぶと入っていく感覚に腰を、体を、背中をそらせる。
夢の中にいるような幸福感が俺の中に広がる。
関谷さんに塗られたマニキュアの爪で接合部分をなぞる。妖艶だ。
グロテスクな現実の上に、きれいなリボンが結ばれたみたいだ。
関谷さんに見えるように、腰を上下に動かしながら、手を添える。
関谷さん自身が中で大きくなるのがわかる。
「あ…ッあつぃ」
「…ッは」
関谷さんの頬が赤く染まって、辛そうな表情がますます俺のいたずら心に火をつける。
気分が、向上する。
穴をヒクヒクさせて、キュッと締めて、一気に脱力し穴を緩めると先に中出しされたカウパーが出てくる。
「ッ…あ、はっ、さっきナカに出してもらったの、でてきちゃったぁ…っアッアッァッッ」
関谷さんの腹に手を当て、ピストンの速度を速める。
するとぐるっと正常位の体位にされ、関谷さんも余裕がないのか俺の腰を掴んで腰を振り始める。
「ッンあぁ、ふあぁっあッあ」
二人の呼吸が溶け合うようだ。
関谷さんの陰茎は俺の内側を容赦なく突き倒す。
「ンッんッんんッあっ、あ」
俺の体は中から精嚢を刺激され、快感がじわじわと押し寄せる、頭がぶっ飛びそうだ。
「あっ、はぁッッんんんんンッイ、イッちゃうぅッイッちゃう」
関谷さんが俺の男根を掴む。
「あっ、だめぇえええぇぇえッ、いまさわっちゃッぁああっイッちゃ、イッちゃぁ、ああッ、ンンンンンッやっ、やっ、あ」
俺を見下ろしながら、俺自身を片手でしごいて、パンパンと音を立てながら余裕で俺にピストンしてくる姿が男らしすぎて胸をまた射ぬかれてしまう。
俺の人生でこれだけキュンキュンしながら誰かに犯されたことがあっただろうか。
「っ、ああっせきやさん、せきやさ…ッすきぃ…ッあっ、あ」
関谷さんの腕が俺の首に回される。
彼から香る、ジャスミンの甘い匂いに酔いそうだ。
―――なんて、あったっかいんだろう。
抱きしめられながら打ち付けられる快感に、嬉しさで締めつけを強めてしまう。
関谷さんと合体している部分はドロドロだ。
ピストンが早さを増す。
「あっ、あっあああっあ、イッイキます、おれ、イく、イクゥウウウッ」
前立腺を刺激されて、トコロテン射精してしまう。
中でまた温かさを感じた。関谷さんも同時に達せたようだ。
本当に、俺たちは体の相性がいい。
*****
いつものように意気揚々とホテルに足を運んだ。
毎週水曜日21時は楽しい時間だった。
ざわざわと騒がしい商店街も足早に抜けて手前の路地裏で関谷さんに出会う。
手を繋ごうとすると「今日はセックスじゃない」という関谷さんに、浮かれた俺は「どうしたの?」と笑顔ではしゃぐ。
「薫くんと、そろそろ会えなくなる」
寒空の下、マフラーで顔を隠しながら、彼と“さよなら”したあとは、いつも心が温かくなる。
バターが溶けたみたいに切なくて、甘い。
でも、今日は違った。
スパダリ×ボーイ
受けが切なくて可愛いかったです。
続きが気になります。続編をぜひ読みたいです。
もよこ さん 2020年12月29日