先生たちの秘めごと (Page 4)
タカミヤがこの高校に赴任してきたのは2年前。
前の高校では、女性教師同士がタカミヤを巡って争い、タカミヤはどちらとも関係は持っていなかったものの居づらくなって退職した。
その前は、女子生徒に言い寄られハッキリと断れば、もてあそばれたと振れ回られて、誤解は解けたもののやはり周囲の目がしんどくて退職を余儀なくされた。
この高校でも女性問題でトラブルが起こるようなら、もう教師という仕事を辞めようとタカミヤは覚悟を決めていた。
自分はゲイでそもそも女に興味がないのだと、飲みの席で2年先輩のナリタに話したことがきっかけだった。
その日に勢いのままホテルで求めあい、不定期ながら月に2、3度はセックスをする関係になっていた。
ナリタはゲイというわけでもないようだが、とくに恋人もおらず持て余した性欲を解消するにはタカミヤみたいなのが都合がいいらしかった。
「ねぇナリタ先生」
「あ?ってかお前さ、問題にされたり騒がれたりが怖いってのはわかるけど、ああいう期待持たせた言いかたしてたらいつかもっと面倒なことなんぞ」
「…あの、さっきなにか言いかけませんでしたか?」
挿入する前に、ナリタがなにか言おうとしていたことがタカミヤの中に引っかかっていた。
クシャクシャになったティッシュを古新聞で包んでゴミ箱にポイと放ってから、ナリタはハァ…とため息を吐いた。
「あんま可愛いことばっか言ってると?俺のモノにしたくなるんだけど」
「ん?」
すんなりと理解できずに小首を傾げるタカミヤの身体を、まだシャツがだらしなくたくし上げられたままの身体を、ナリタはギュッと抱きしめた。
「女に言い寄られても恋人がいるって言えばそれで済む話だろ」
「え…恋人なんていないです…し」
「だから、俺と恋人になりゃいーだろって言ってんの。察しろよバカ」
悪態が多いこの男の心臓が、ドキドキと高鳴っているのが伝わってきて、タカミヤはフフッと笑った。
Fin.
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