俺様とスレチガイ恋愛 (Page 3)

 潤は唇を噛んで、僕の両手を頭上に戻して枕に押し付ける。

「じゅん…?」

「決めたんだよ」

「なにを…?」

 ゾッとするような潤の黒い笑み。

 潤は俺の喉元を食んで、ジュッと音をたてながら吸い付く。

 ピリッと痛みが走ると、潤は奥にゆっくりと太くて熱いものを入れてくる。

「身体から落とすって」

 耳元でささやかれたその言葉と同時、バチュンッと肌と肌が勢いよくぶつかる音がした。

 意識が飛びかけ、脳内に星が散り、息が詰まる感覚に襲われる。

 ぼーっとする意識の中でもパチュパチュという水音が耳に響き、奥を突かれるたびに身体がおかしくなるのがわかる。

「あっ、ああ、あぅ、ああっ」

「桃里は奥が好きなんだな。ずっとイキっぱなしなんだけど」

「んあ、あぁっ」

 無理やり抱かれてるはずなのに、嫌悪感がないのは好きな人に抱かれているからだろうか。

 きっとこの手で、恋人の身体を撫でたのだろう。

 きっとこの声で、恋人に愛をささやいたのだろう。

 きっとこの身体で、恋人を抱いたのだろう。

 そう考えると不思議と涙があふれてくる。

 快楽に溺れ、理性が飛びかけても、潤には恋人がいるって事実が消えてくれない。

「じゅ、ん…、やだ、やだよ…」

「ッ…謝んないから」

 涙がこぼれ落ち、視界が開ける。

 すると潤の辛そうな瞳が僕を映していた。

「…潤?」

「ッ…おまえが、お前が俺を見ねえのが悪いんだ!」

 そのとき、一番奥を勢いよく突かれた。

「ああっ」

 その一瞬でギリギリに保っていた理性がプツッと切れる。

 グチュンッといやらしい音が響き、潤の吐息と僕の喘ぎ声、秘部から響く水音が思考を停止させた。

「くっ…」

「ああ、あっ、ああんっ」

 奥を突かれるたびに背中が飛び跳ね、ガクガクと腰から下が揺れる。

 足のつま先がピンッと空中で伸び、縛られる手は抵抗を知らない。

「す、き…好きっ、じゅ、んんっ」

「ッ…!?」

「ああっ、すきぃ…好きいっ──!」

 だから理性を手放したあとに、僕がなにを言ってもおかしくはなかった。

*****

 目が覚めると身体がズッシリと重かった。

 喉が異常なくらいかわいていて、重い手を伸ばす。

「みず…」

 すると物音がして、足音が近づいてきた。

 ハッキリしない視界に人が近づいてきて、伸ばした手に冷たいペットボトルを当てられる。

 誰かいたっけ? なんて疑問を思っても、頭がうまく回らない。

「一人じゃ飲めないだろ」

「…ん」

 近くのその人が僕の身体を起こし、支えるようにベッドに腰をかける。

 そしてあごをあげられ、柔らかな感触が唇に落ちた。

「ん…」

 半開きになる口から冷たい水が流れ込んでくる。

 コクッ…と喉を鳴らしながら飲み込むと、「もっと飲むか?」と声が聞こえてきた。

 ただ首を左右に振り、まぶたを閉じる。

「…ん?」

 この声を知っている。しかも、よく。

「桃里?」

 僕を呼ぶ甘い声、僕の大好きな人。

 その人がなんでここにいるのか。

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