今宵、天使は兄に抱かれる (Page 4)
「随分と慣れてるんだな、薫」
「…別に、そういうわけじゃ」
「パパたちに教えてもらったのか?」
「だとしても、兄さんには関係ないよ」
僕はできる限り冷たく言い放った。
これ以上、詮索されたくなかったし、兄さんには知られたくないことばかりだった。
「そうか、そうだよな。関係ないよな…」
兄さんが僕から自身を引き抜いた。
「んぁっ」
名残惜しそうに僕のナカがうねる。
兄さんは疲れ切った顔で、力なく僕を見下ろしていた。
「薫の言う通りだよ。お前がどんなセックスしようが俺には関係ないよな」
「兄さん…」
「パパ活しようがウリで食っていこうが、俺には関係ないんだよな」
「…っ」
「誰にでもケツ振ってメスイキするド淫乱になっても、俺には関係ないんだよな」
「ひどいっ」
僕は枕を引き抜くと、思いっきり兄さんにぶつけた。
「痛てぇ…」
「そんな言い方しなくたって…兄さんのばかっ!」
顔をさすっている兄さんに、もう一度たたきつける。
「やめろ、薫」
「うるさい!突然現れてなんなのさっ、僕に説教するな!」
僕は金切り声を上げながら、枕を振り回した。
「昔から僕を避けてたくせに!」
兄さんは一切抵抗しなかった。
枕をぶつける乾いた音が、次第に大きくなっていく。
「僕を置いて出て行ったくせに…!」
兄さんは黙ったまま、僕にぶたれ続けていた。
「無理矢理こんなことまでして…そんなに僕が嫌いかよ!」
「…嫌いなもんかよっ」
突然、兄さんが僕の腕を掴んだ。
「痛いよ、離してっ」
「嫌だ」
「僕もう帰る!離して!」
「嫌だ、離さない」
兄さんは僕を組み敷いたまま動かない。
「なんなのほんと…っ」
怒りにまかせて身をよじると、兄さんの手を振り払うことができた。
「僕から離れてよ!兄さんっ」
僕は力いっぱい枕をたたきつけた。
その時、枕の端が切れて中から大量の羽毛が飛び出した。
白い羽根が宙を舞う。
驚きで言葉を失っていると、唇にやわらかい感触が走った。
「んっ…」
兄さんの熱い唇が、僕にやさしいキスを落とした。
「もう、離れない」
ついばむような口づけが、ねっとりと官能的になっていく。
「兄さん…ンっ…ふっ…」
やがて兄さんの唇から、しょっぱい味がした。
「んはぁっ…兄さん…?」
「…好きだ」
兄さんが、濡れた瞳で僕を見つめていた。
天使
大変Hでした。最後にタイトルの意味がわかって良かったです。
ナナシ さん 2021年3月25日