失恋して実る恋もある (Page 5)
そういえば…と思いだすのは、門倉の弟の存在。
昔は『佑志』って名前で呼んでたけど、中学のときに彼を意識してからは照れ隠しで『門倉』と呼ぶようになった。
門倉以外、どうでもよくて弟の顔はハッキリと覚えていないけど、いることは思い出した。
「え、志貴が佑志の弟なの?」
「そう言ってるでしょ! 保育園からずっと一緒だ!」
「…え、えええ!?」
それなら志貴が不機嫌になるのもうなずける。
佑志以外見えていないも同然だったから気づかなかった。付き合った女の子の顔とか全然出てこないし。
「じゃ、じゃあ志貴の言ってたずっと好きで見込みがないっていうのは…」
「バカなあんたのことですよ、ユウくん」
「うっ…ごめん。その呼び名で思い出したわ。お前、佑志の弟だ」
「だからそう言ってるでしょ!」
そしたら見込みが持てないのも納得だ。
俺は門倉にゾッコンだったから、好きと言われても『ごめん』で終わっただろう。
いくら興味ないとは言え、弟の顔を忘れるとか最低すぎる。
結婚できないから家族や親戚は関係ない…って思ってた過去の自分を呪いたい。
「でも、いいです」
「え? …うわっ」
ぐりん…と足を押し返され、身体がまた密着する。
中に挿入されたままの肉棒が元気を取り戻し、パンパンッと音をたてながら志貴は腰を振った。
「あっ、きゅ、うに…ひど…ああっ」
「兄貴が結婚した日に処女もらえたし、今夜のことは忘れられないだろうしね」
「そ、れは…でも、俺、お前のこと…んあ」
「今はまだ好きじゃなくてもいいよ」
「へ…? あ、ああ、やだっ、これ、まって…!」
奥の変なところをトントンされて変な感覚が押し寄せてくる。
「やだっ、まっ、て…おねが…ッ」
「先輩、一緒に、いこ、うね」
「ふぇ…、やっ、やん、やああああっ」
バチュンッと音をたてながら最奥を突いた志貴の肉棒が震えた。
ビクビクと震える志貴のソレに共鳴するように、俺の腹筋も震える。
勢いよく射精した精液が自分の頬にまで飛んできていて、舌でペロリと舐めれば案の定マズイ味。
「先輩、大丈夫?」
「…なわけ」
「可愛いイキ顔だったよ」
「うるせぇ…」
どちらともなくキスをして、貪るように舌を絡ませて求め合う。
「ユウ」
「ん…?」
「俺とあんたは一夜限りなんかじゃないよ」
「なんで」
「だって俺の片思いにようやく見込みができたから」
「ッ…」
そう言う志貴を見上げると、まぶたに唇が落ちた。
「絶対にユウを落としてみせるから」
志貴は結婚したアイツと同じように、瞳を潤ませた綺麗な笑顔を浮かべていた。
Fin.
最近のコメント