フェロモンと肉欲の使い方
警察官の檜山泰久(ひやま やすひさ)は、超有能で将来有望な男であり、他部署の後輩にである石田啓介とセフレ関係にある。彼にはセフレがいるということの他に、もう一つ、周囲に対して秘密を持っている。それは、オメガ性であるということだ。石田啓介は、そんな檜山の肉欲と将来の舵を持つことに、密かに優越感を感じていたのだが……。
相も変わらず残業を数時間こなし、終電の3本前に駆け込み乗車をして帰路についたが、一日の終わりに最大の癒しが待っているから俺は明日も頑張れる。
その癒しとはつまり、部署違いではあるが先輩にあたる、超有能な男とのセックスだ。
しかも、今はちょうど発情期にあたる時期だ。玄関を開けるとすぐに室内に充満したフェロモンにあてられる。甘ったるい匂いが壁紙に染みつきそうなくらいに漂っていた。
本人には言えないが、俺はアイツの発情期の時期が一番好きだ。普段の不愛想とは反対に正直になるし、ポーカーフェイスも崩れる。なにより、あの社会的にも人間的にも勝ち組なあの男が、この俺の性器にむしゃぶりつくのだ。澄ました顔が肉欲にとろける表情は俺だけが見れる最高の特権だ。
ネクタイを緩め、匂いの強い寝室へ向かう。さすがに靴下を巣材にされるのは嫌だったので廊下の途中で洗濯機のなかに放り込んできた。
「檜山さーん。ただいま帰りましたよ。まったく、エッチな匂いが外まで漏れてますよ」
最後のはもちろん嘘だが、あながち間違ってはいないと思う。このマンションの隣人がもしアルファだったら絶対に気付いているだろうし、フェロモンにあてられて部屋に押し入ってくるだろう。しかし幸いにもそうでないのが救いだ。
俺は声をかけた先にある巣の上に、脱いだ衣服を重ねた。こんもりとした山の中から腕が伸びてきてその脱ぎたての新鮮な服を取り込んでいった。さらに俺の手首も掴んでぐいと引っ張られた。
「啓介……、おかえり、遅かったな、待ちきれなかったぞ、はやく、はやく……っ」
言葉を途切れながら紡ぐ檜山さんは、もうすっかりのぼせた顔をしていた。しっとりとした唇が触れる。すぐに濡れたキスに変わり、熱い舌が俺の唾液を欲しがるようにピチャピチャと音を立てて動き回った。
手首を掴んでいた啓介の手が、俺の首に回され、後頭部を抱き込まれた。巣から出てきた体は一糸まとわず、じっとりと熱い皮膚が触れる
色白の肌が紅潮していて、下半身のぷるんと勃起したペニスは真っ赤になるくらいに腫れていた。巣材の上に寝転がせると、充血したペニスの根元も濡れていて、後孔からはタラリと愛液を溢れさせていた。
「自分で解していましたね?」
蕾の周りを撫でるとヌラリとした液体がすでに塗り広げられていた。
「ああ……、君がそう言ったんだろう。せがむなら用意くらいしておけってな。……なあ、はやく君の、そのデカイのをくれよ」
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