羊の皮を被ったオオカミ
仲のいいサークルの先輩と後輩。羊のようにふわふわとかわいい後輩から、就職祝いにと『気持ちのいいこと』をプレゼントされた先輩。当然自分が攻めだろうと思っていたのに…!?一夜にして新たな扉を次々と開いていく様をご覧あれ。
今日はサークルの新歓コンパ。
大した活動もしていない、飲みサーと化した我らがサークル。
今日も今日とて、どんちゃん騒ぎだ。
俺は今年で4年、いてもいなくてもいい存在…なのだが、なんだかんだ居心地がいいので未だに参加している、という訳だ。
毎回、隣に知らない女の子が代わる代わる座り、いろいろ話しかけてくる。
昔からそう。
外見だけで判断し、寄ってきて勝手に幻滅して去っていく。
いつもそうだ。
しかし気の弱い俺は煮え切らない態度で適当に接してしまう。
それがいけないことは自分が一番わかっている。
でも、愛想笑いに疲れてきた頃、必ずヤツが現れる。
後輩のカズヤだ。
いつもフォローしてくれて、情けないがとても助かる。
カズヤは1学年下で、サークル参加当初から何かと懐かれている。
ふわふわとした柔らかい髪、色が白くて透き通るような肌、小柄で華奢な体つき。
ガサツでゴツゴツした、ウドの大木のような俺とはまるで正反対。
きっと、女の子たちからは「かわいー!」なんてチヤホヤ言われてるんだろう。
……でも、不思議とカズヤとは恋愛の話ってしたことないんだよな。
―――
二次会に行くか行かないかのゴタゴタの中、俺とカズヤはいつもこっそりすり抜ける。
このまま俺のアパートで飲み直すか、雑魚寝するか、がこの数年でできあがった流れだ。
無事、俺のアパートへ帰宅。
各々いつも通り適当にくつろぐ。
「ユウヤ先輩、さすがにもうサークル来なくなりますよね?」
「まぁ…就活も卒論もあるしなぁ」
「…っすよね。俺、寂しいっすよ…」
「でもお前ならいつでも俺んち来ればいーじゃん?」
「え!来ていいんすか!?」
「当たり前だろ!今まで何回来てるんだよ」
俺だってカズヤとなかなか会えなくなるのは寂しい。
カズヤと過ごしてきた時間はかなり多い。
いつだって遊びに来て構わない。
なんなら、用事などなくたっていい。
俺は本気でそう思っている。
後輩として、友人として…。
―――
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