想い、こじらせ
片思い6年。両想い1年。同棲半年。体のつながり0回。響也は、高校からの同級生、六太に対する思いをこじらせていた。大事にしたい気持ちと先に進みたい気持ち。響也が一歩を踏み出せずにいる中、六太は不満を抱いていて――。
静かな室内に卑猥な音が響く。それと、脳みそが痺れてやまない、押し殺された嬌声。
「っふ…っと、もっとぉきょうやぁ…」
ねだるしぐさとその声に応じるようにいきり立つペニスを強く吸えば、喜ぶように腰が震えた。
響也はゆっくりと先走りをなめとり、その奥のかたい部分へ舌を強く押し付ける。
それだけで限界を迎えるように腰が震え始め、恋人は短い悲鳴を上げて仰け反った。
「ん…気持ちいい?六太」
「っは、はぁ…ん…」
びゅく、と吐き出された熱をその勢いごと飲み込む。濃くて甘い味に舌なめずりして、六太に微笑んだ。
六太はといえば、トロンした表情にほんの少しの期待を込めた視線を向けてくる。
その頬を撫でてやれば心地よさげに目を細めた。
「シャワー浴びて来いよ」
その様子に生唾を飲み込んで、ばっと体を起こす。六太の表情は見ない。そしてそそくさと部屋を後にした。
ピロートークもないそんな状況は日常茶飯事だ。
そしてそのまま外に出ると走り出した。中心に集まる熱を冷ますため、そしてアイスを買うために。
高校1年の時から片思いし続け6年。両想いになって1年。
同棲して半年。響也は、タイミングを完全に逃していた。
*****
「…」
「…食べないのか?」
六太は頬を膨らませてテレビを観ている。聞かなくてもわかる不機嫌さの原因は痛いほどわかっていた。
機嫌取りのため買ってきたアイスに目もくれずそっぽを向いている六太に、響也は心の中で謝った。
同時に言い訳をする。情けないことは誰よりもわかっていた。
「六太。ほら溶けちゃうぞ」
「ん」
視線はそっぽを向いたまま。それでもアイスの誘惑に負けた六太は口を開いた。
少し子供っぽくてかわいらしいそのしぐさに思わず笑ってしまう。
「ほら、ゲームでもしよう?」
「…」
アイスをはぐはぐとかじって、それでも六太はこちらを向こうとしない。
重たい沈黙が二人の間に落ちる。息苦しくなって響也は小さく溜息を吐いた。
「…足りない」
「ふへっ!?」
突然、足をひっつかまれて引き倒される。急なことに頭を床へしこたまぶつけて、響也は悶絶(もんぜつ)した。
「もっと」
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