バラ色 after work (Page 2)

「つうか、誰が狙ってねえだよ。バリバリ狙ってんじゃねえか」

これは、俺のセリフじゃない。

俺の部屋で飲み始めた律が、大虎になっての言葉だ。

インターンで一緒になるまで親しくなかったので知らなかったが、アイドル並みの可愛い外見とお行儀のよさに似合わず、律は酒に強い。そして、酒癖が悪い。

「ベッタベタベタベタ触りやがって!僕にも触らせろ!」

そして、エロい。

俺のTシャツの中に手を入れると、胸を触りながら、乳首をこねくり回し始める。おいおい、森さんは服の上から撫でただけだよ。

「飲みすぎだって」

気持ちがいいけど、乳首のほかも硬くなりそうだ。慌てて逃げてコップに水をそそぐ。

律はカーペットにべたりと突っ伏した。大体はここら辺で律は眠り始める。でも、今日は違った。

「ほら、水。少し落ち着こう」

引き上げて氷と水の入ったコップを手渡そうとすると、ジト目で見上げた律が「口移しなら飲む」と言い出した。

「え?」

「く・ち・う・つ・し、口移しなら飲むって言っているの!」

じっと見つめると、酒を飲んでも顔色が変わらない律の頬がずんずん赤くなってくる。

これは…。

「律って、俺のこと好きなの?」

「…」

律と親しくなったあと、森さんに狙われ始めていると感じた時、律には「恋愛相手は同性みたいなんだ」と伝えていた。

言い切れないのは、過去に淡い片思いをしただけなので自分でもよくわからない部分があるからだ。

そのとき律は「僕は、まだ人を好きになった経験もないよ」と真面目に答えてくれていた。引かれるのも覚悟していたからありがたかった。

「好き、なんだと思う。森さん以外でも、葵が誰かに触られたりしたら苦しい」

入学した時から、律のことは気になっていた。可愛くて真面目な律。でも好意に引かれるのが怖くて、遠くから見ているだけだった。

偶然インターンでおなじ会社になった時には、嬉しくてたまらなかった。

一緒に仕事をしていると、律のちょっと要領がよくて小ずるいところもわかったけど、それも意外性があって悪くなかった。

「俺も、ずっと好きだった」

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