初めての夜

・作

付き合って三か月になるシュンとリョウの二人。しかし、キスもエッチも未経験。なんとか次のステップに進みたいリョウは、ついにシュンと二人で泊りがけの旅行に行くことに成功するが、果たして二人は無事に初エッチに進むことができるのか…?甘々なお話です。

透き通るような海、真っ青な空。シチュエーションは、まるで完璧だ。

「うわ、すげー。めっちゃきれい」
「な、ほんと。ちょっと高かったけど、いいホテルとってよかったな」

少し奮発して予約したホテルの外には、なんとも美しい絶景が広がっていた。
部屋の中だってめちゃくちゃきれいで、普段仕事で利用するようなビジネスホテルとは訳が違う。

部屋に到着するなり、ふかふかのベッドに飛び込んだのは、俺の恋人、シュン。
日頃の疲れを癒すかのように、もうすっかりベッドに身を預けてしまっている。

「ちょっと、寝ないでよ。このあとご飯も予約してるし、バーだって行きたいし」
「わかってるよ、でもここまで運転したんだし、ちょっと休ませてよ」

高速を使って、約二時間半。シュンはその距離を、一人で運転してくれた。
ペーパー同然の俺にとって、シュンの存在はとってもありがたい。もちろん、車目的とか、そんなんじゃないけど。

シュンと俺が出会ったのは、もう十年も前のことだ。
お互い予備校に通っていたとき、偶然に席が隣だった。たったそれだけの繋がり。
だけどなんとなく話が弾んで、大学に入学してからは、二人でよく遊ぶようになった。

卒業して、社会人になっても、それは変わらなくて。
仕事終わりに居酒屋で待ち合わせしたり、二人でドライブに行ったり、『普通』の友達として、何年も過ごしてきた。

そして、なんとなく、どちらからともなく、付き合おうと言ったのが三か月前。
だけど、俺たちの関係性には、ほとんど何の変化もない。

「どう、シャワーきれい?」
「風呂めっちゃ広いよ、足もゆっくり伸ばせそう」

浴室を覗いていると、後ろからシュンがやってきた。
俺より少し背が大きいシュンは、よく俺の頭の上に顎を乗せてくる。
なんだか子ども扱いされてるみたいだけど、そんな仕草だって好きだから許せてしまう。

「あとでゆっくり入ろうな」

頭をくしゃっとされて、思わず胸が弾む。
シュンが俺の体に触れるたびに、『その先』を意識してしまうなんて、言えやしない。
けれど、俺の体がシュンに触れられることを望んでいるのは、確かだった。

*****

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