彼の危険なパンドラの箱 (Page 3)

「梓乃さん」

 自分の名前を呼ぶ声に顔をあげる。

 するとそこには見覚えのある青年が半裸の状態でいた。

「…かな、め…くん?」

「おはようございます」

「おは…よ…?」

 何が起きているのか。

 ヌチヌチと音が聞こえ、音のする下半身を見る。

 すると自分の尻に彼の指が入っていた。

「…ッやめろ!」

「やめません」

「やだっ! やだっ! それだけは…ひぐぅ…!」

 腹の裏側を撫でられ、身体が反応する。

 あの頃の嫌な記憶が呼び出される。

「いやだっ、やだっ! こわい、怖いっ!」

「怖くないですよ。ちゃんと気持ちいでしょ?」

 長く綺麗な指に頬を撫でられ、鹿目くんのおでこが俺のおでこに優しくぶつかる。

「…かな、めく…やめて、くれ」

「嫌です。梓乃さんを抱くために勉強したんですよ? たーくさん」

「んぅ…、やだ、こっちは、いやだ…」

「マスターは許しちゃうのに?」

「せんぱ、先輩は…手伝ってくれて…ひっぐぅうっ」

 何がどうなってるんだよ。

 何で鹿目くんが俺を抱いてるんだ?

 俺を酒で潰して持ち帰った?

 それならあの人が止めるはず。

 なら、なんで…。

「ずーっと好きだったんです。梓乃さんのこと」

「ぇ…?」

「俺のこと覚えてない? 梓乃さんが高校を卒業するまで、近くに住んでたんだよ」

 鹿目くんは俺の首筋にキスを落として、じゅぅっと吸い上げる。

 チクリとした痛みのあとに、ベロリと熱い舌に舐められる。

 顔をあげた鹿目くんは、俺の唇にキスを落として口内に舌を侵入させた。

 くちゅぅ…と舌に唾液が絡み、鹿目くんは俺の口内を執拗に舐めまわす。

「私立校に通ってたせいで不良にお金をたかられやすくてさ、そんな俺をいつも梓乃さんが助けてくれたんだよ」

「…そん、なの」

「覚えてない? そりゃあそうだよね。あんな奴らに酷いことされたら忘れたくなるもんね」

「ひぃっぐぅッ!」

 グチンッ…と大きな音が響き、脳に星が散った。

 何本もの指が身体の奥を高速に突き、ピチュピチュと音が響く。

「学校で犯されたって聞いてすっごくムカついた。俺の綺麗なお兄さんを、あいつらが汚したって知ってね」

「あうぅっ、ああああッ!」

 何を言われてるのかわからない。

 俺に弟のような存在なんていないし、鹿目くんと出会ってたことなんて…。

「梓乃さんのこと今度は俺が守ってあげる。梓乃さんが傷つけられないように、俺が守ってあげるよ」

「かな、め…く…ん」

「梓乃さんの視界に入るのは俺だけ。梓乃さんに触れるのも、気持ちよくできるのも俺だけ。ね? いいでしょ?」

 本当に何が起きてるのかわからない。

 鹿目くんの目は相変わらず純粋な瞳をしている。

 あぁ、そっか。

 俺だけを想ってるから純粋に見えていたんだ。

 こんなどす黒い狂った愛情を、純粋に俺だけに向けていたから。

 

 ぐちゃぐちゃにほぐれたアナルに鹿目くんの熱い肉棒がくっつく。

 抵抗する力も残っていなくて、俺は簡単に鹿目くんを受け入れた。

「はぁ…んぁ…」

 鹿目くんの腰がゆっくりと動き、俺の口からは吐息がこぼれる。

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