籠の中の猫 (Page 4)

「いい子だ、隼人。もう俺も我慢できねぇ。俺にお前をよこせ…爪なら幾らでも立てていい…っ」

「はあっ、はぁ……う、ん…っ…ん、んぁ…ッ…」

かき抱くようにきつく俺の体を抱きしめると、少しずつそれを挿入し始める。

「っ、は…締め付け過ぎだ…力抜け…っ」

「ん、ぅ…はぁッ…だってっ…」

あまりの質量感に思わずきつく力んでしまい、すがるようにしがみつくと彼から苦しげな吐息が漏れる。
一生懸命慣らそうとしてくれているのか、キスをしながら先端だけでしばらく緩やかな律動を続けてくれた。
そのおかげか少しずつ慣れてきて、時間はかかったがすべて受け入れることができた。

「はぁっ…ハァ…獅童さんで…いっぱいになった…」

「っは…あんま可愛いこと言うんじゃねぇよ…抑えらんねぇぞ」

そう言うと腰をしっかりと抱えて律動を始めた。
最初こそ圧迫感で苦しかったのに、何度も腰を動かされるたび少しずつ再び快感に支配されていく。
静かな部屋に二人の吐息と俺の声、肌がぶつかり合う音と粘着質な音が響いて聴覚からも犯されているような気持ちになり、一層快楽が俺を追い詰める。
またさっきのような上り詰める感覚が襲い、ほとんど無意識に彼の名前を必死に呼んだ。

「ん、あっ…はぁ、ぁあっ…し、ど…しどう、さん…ッ…もうっ…」

「っ、あぁ…俺ももう…一緒にイくぞ…っ…」

叩きつけるように奥を突かれて俺はいとも簡単に達し、俺を追うように小さなうなり声と共に獅童さんも達してしまった。
腹部内に広がる熱、大きな快楽の後の余韻は長くしばらく動けない。
俺を抱きしめてくれていた獅童さんが上体を起こし、俺の額に伝う汗を拭ってくれた。
なんて優しい目をする人だろう。

 

落ち着いて服も整えた俺達は、当初の目的通りに荷物をまとめて部屋を出た。
バイトは辞めるが大学は通うこと。部屋は解約せず残しておくことを条件に。

 

ヤクザのお屋敷についた俺は、その仰々しいたたずまいや舎弟さん達に本当にそういう世界に来てしまったんだと笑うしかなかった。

それでも、舎弟さん達や組長さんに挨拶をしたら快く受け入れ、優しく接してくれている。
前もってちゃんと話してくれていたようだ。
ご飯も美味しい。何か礼をと思って掃除や食事の準備をしようとすると、兄貴に怒られると慌てて止めてくる。
大学やたまに友人と遊ぶ以外は、ここにほぼ軟禁生活をしている。

これが、いわゆる鳥籠の鳥状態か。

いや、獅童さんは俺を猫可愛がりしてくれるから鳥籠の猫かな。

とんでもない世界に意図せず入り込み、平凡な生活が失われてしまった俺だけど今までで一番幸せだ。

そして今日も、帰ってきた獅童さんを出迎える。

Fin.

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