春と夏のあいだに
サラリーマン×サラリーマンのスーツプレイです。攻めがノンケ、受けはビッチという感じのシナリオになっています。年上受け、年下攻めが好きな方にもおすすめです。敬語攻めなどの要素もあり。全体的に甘々なストーリーとなっております。読んでいただけると幸いです。
月曜日は、いつも憂鬱だ。
毎週土曜日に泊まりに来てくれる遠距離恋愛中の彼女は、日曜日の夜に帰ってしまうし、何より朝から仕事。
乗りたくもない満員電車に揺られて、2日ぶりの出勤。実に憂鬱だ。
近づきたくもないオジサンたちと一緒になって、女の子たちの目を気にするように両手は上。
まるで罪人かのようなポーズをしながらの通勤は、なかなかの苦痛だ。
急カーブで、人の波が押し寄せてくる。
入口付近にいた俺は、ドアに押し付けられ、ぐぇっと声が出そうになるのを必死に堪えた。
そんな時、ぱっと目に入ったのは、角の座席でスマホをいじるサラリーマンの姿。
メガネをかけて、高そうなスーツを着て、満員電車に乗っているのが嘘みたいに涼しげな表情を浮かべている。
同い年くらいだろうか?それとも、年上だろうか?そんなことを考えながら目が離せないでいると、顔を上げた彼と目が合った。
あまりにもびっくりして、一度目を逸らした。
顔を上げると、思っていたより柔らかい表情をして、こちらに向かって微笑んでいた。
黒髪だが、色素が薄く見え、柔らかそうな髪。
眼鏡越しに見える瞳も、茶色がかっている。
電車の窓から差す光が、透明感のあるその肌を照らしていて、なんとも眩しい。
不覚にも、ドキッとした。生まれてこの方、25年。男にドキッとすることなど一度もなかったはずなのだが、どうしてだろう。
嫌悪感は、不思議となかった。笑ったその表情も、なんだか可愛いなんて思ったりして…
遠くのほうから駅のアナウンスが聞こえた気がして、ふと我に返る。
もう降りる駅ではないか。電車のドアが閉まりきる前、ギリギリのところで駆け降りて、なんとかセーフ。
危なかった、と冷や汗をかきながら周りを見渡したが、先ほどの彼はそこにはいなかった。
仕事中も、何度か彼のことを考えた。あのオーラ、なんだったんだろう。彼の残像を頭の中で反すうさせながら、ぼんやりと考えた。
おかげで資料にもちらほらとミスをし、結局18時退勤だったはずが、20時前。もうこんな時間になってしまった。同僚と飲みに行く予定も、残業したおかげでキャンセルした。
定時で上がれれば行けただろうが、生憎今日はそんなテンションでもないし、元気もない。彼女からきたメッセージに、今終わったよとだけ返事をして、家路につく電車に乗り込んだ。
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