春と夏のあいだに (Page 3)
「へー、彼女いるんだ」
「遠距離ですけどね…もう3か月も会ってないし」
「えー、それどうなのよ。ナツキくん冷たいんじゃなーい?」
おどけた様子で言うその手には本日5本目の缶チューハイ。俺も俺で、ハルキさんに勧められるがままに飲んだ結果が、もう7本目。
「仕方ないっすよ、相手は土日休みじゃねーし、休み自体が合わないんだから」
「ほんとに好きだったら、休みじゃなくたって会いに行くっしょ。ほら、仕事終わりに顔見るとか」
「もうそんな関係じゃないっすよ、学生のころからの付き合いだし、マンネリっていうか」
ふーん、という相づちの後、床に座っていた彼がソファーに座っていた俺の横に座った。肩と肩が触れ合い、距離はかなり近い。
「じゃあ…3か月の間どうやって性欲処理してんの?」
彼の指先が、俺の太もも辺りに滑らされる。払いのけようとすると、その手をぎゅっと握られる。
「あの…ちょっと」
「電車で目が合った時から思ってたんだよね、男の俺にあんなに見とれちゃうくらいだから。相当溜まってんだろうなって」
細い指先が、股間をまさぐるように動く。拒否したい気持ちはあっても、酒のせいで思うように体が動かない。
想いとは裏腹に、反応してしまう愚かな体。布越しに股間を撫でる感触に、自分自身がむくむくと膨張していくのがわかる。
「…んっ…」
「ねぇ、俺とセックスしようよ」
ハルキさんが耳元でそう囁き、耳たぶを甘噛みされた。
ぼうっとした意識の中、俺は拒絶することもできないままに、その体を抱き寄せられてしまった。
きゅっと締めていたネクタイが、シュルシュルとほどかれていく音が聞こえて、俺のネクタイと彼のネクタイが床に放り投げられる。
酒のせいか、熱を帯びた視線が絡み合って、理性の糸がぷつんと音を立てて切れたような気がした。
ソファーの上、ハルキさんは俺の足元に跨るようにして、股間に顔をうずめた。
革のベルトがゆっくりと引き抜かれる音がして、なんとも生々しい。
下着の上から、唇が這う。一回、二回と愛でるように唇を滑らせたあと、肉厚な舌でべろりと舐めあげられた。
「ふふ、もうおっきくなってんじゃん」
「それは…あんたが…!」
「彼女もいるのに、悪い男だね」
一気に下着をずり降ろされ、体温が上昇するのがわかる。
油断すると、この人に喰われてしまいそう。いや、もうすでに喰われてしまっているのかもしれない。
性器の先端をぱくりと咥えられ、生温かい感覚にぶるりと身震いする。
ちゅく、ちゅくという粘着質な音と、時計の秒針の音だけが部屋に響いて、それがさらに興奮を増加させた。
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