恋人が営むバーでした甘くて塩辛いキス (Page 2)
「ありがとうございます」
「お疲れさまー」
グラス同士をカンッとぶつけてから、飲み物を口へ運ぶ。
コーラの甘みと炭酸、アルコールの絶妙なバランスの味わいが心地いい。
「諦め悪いし懲りないですね。自分を振った相手に会いに行くなんて」
「それでも、何か無性に顔が見たくなって…」
「…本当にどうしようもない人です、洋司さんは」
「…」
「ですが、そんな洋司さんが好きな僕も、本当にどうしようもないです」
「え? 何かっ…!」
言ったか、と聞き返す言葉は、そのまま美琴の口内へ吸い込まれた。
すると何の前触れもなく、少し冷たい舌が入ってくる。
「っ…」
ザラッとした先端部や滑らかな中央部が、舌や頬裏の粘膜をゆっくり撫でる。
その度にアルコールやコーラの甘さが粘膜に溶け込めば、正常な思考回路はより動きを鈍らせて理性を薄くした。
舌同士が唾液の絡む音。
身じろいだときの衣擦れ音。
そして…
「んっ…はぁっ…ん」
美琴の乱れた呼吸音。
それらが鮮明に聴覚を刺激し、お酒を楽しむ店内にたちまち淫靡な空気が流れ込んだ。
美琴の口付けがねっとりと濃厚になっていくのに反比例して、少量のアルコールや疲れが徐々に飛んで高揚感で満たされていく。
顔を寄せて唇を重ねるだけじゃ足りないのか、ネクタイの結び目を引いて自分の方に体を近付けて距離を縮めた。
前のめりになり、反射で美琴の体に触れる。
しかし、高い体温を知った掌はすぐに意思を持ち始めた。
胸元でドクドクと乱れた鼓動を感じてから、ゆっくりと手を下ろしていく。
「んっ…っ!」
お腹や腰を撫でると全身がピクッと震えて、その反応が可愛らしくて意地悪心をくすぐった。
スラックス越しに脚の付け根を数本の指先でなぞり、最終的に中心部に触れる。
「っ…!」
皮膚の薄い部分に触れたとき以上に、美琴の体がビクンと大きな反応を示す。
局部の肉は肢体と同じように熱さと硬さ、質量を含んで衣類を押し上げていた。
誤魔化しようがない隆起物を、掌のへこんだ部分で輪郭を確認するように撫で回す。
すると肉がムクムクッと別の生き物のように、不規則に脈打って少しずつ膨張していく。
中心部に触れたのが皮切りか、呼吸も苦しくなったのか。
下半身を触って少ししてから、美琴が唇を離して呼吸を解放した。
「触ってないのに、こんなにして…」
言いながら膨らみを覆う指先に力を入れ、ギュッと軽く握り込む。
「オレとのキス、そんなに、よかった…?」
「洋司さんだって…」
眼下で目に涙を浮かべながら呟かれると、視界の端で美琴の腕が伸びるのが見えた。
「っ…!」
その直後、股間の肉塊をギュッと軽く握られる感触がした。
風呂上がりのような、湿りを持った濃密な熱が一気に集約される。
「僕と似たような感じ、じゃないですか」
「誘ったの美琴なんだから、責任取ってよ」
「もちろん、そのつもり、です」
ジジッと下の方でファスナーの音が聞こえたと思ったら、ひんやりと少し冷たい指先が肉塊の温度を下げる。
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